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医療法人社団ペリカン新宿ペリカンこころクリニック(心療内科、精神科)です。
前回のコラム「『循環気質』と『適応障害』の関係性とは?①」において、「循環気質(躁うつ気質)」の特徴をご説明した上で、循環気質(躁うつ気質)は「適応障害やうつ病に罹り易い性格のタイプ」の内の一つに挙げられている、ということを記載させて頂きました。
ただし、前回のコラムにも書きましたが、この「循環気質(躁うつ気質)」は日本人の全人口の2割を占めている性格傾向です。その全員の方々が、適応障害やうつ病に罹ってしまっていたら、大変なことになってしまいます。循環気質の方は、それを自覚しているか否かは別ですが、その方なりの「対処法」を実践されているのでしょう。
では、循環気質の方がご自身で気を付けていかれるべきことは何でしょうか。それは、まず変動する気分の波に気付くことです。
循環気質(躁鬱気質)は、躁うつ病ではありませんので、高揚されている時と落ち込んでいる時との差がそこまではっきりとはしていません。よって、そのちょっとした気分の上下に気付かれないまま、日々過ごされていらっしゃられる方は案外沢山いらっしゃられます。
特に、気分が高揚している時は、(躁うつ病ほどではありませんが)爽快な気分で、何でも出来そうな気持ちになっていますので、こういった時に、自分自身の内面に目を向けられるのは至難の業でしょう。そして、気がつかないと、その感情の波にどんどん巻き込まれていってしまいます。絶好調になったかと思えば、急にやる気が萎んでしまい、欠勤されてしまうこともあります。同僚や上司の方にとっては困惑でしかありませんが、実は当事者本人様も「一体どうしたのだろう…」と相当戸惑われているのです。
循環気質の方の場合、自分自身の気分に「変動する波」があることを把握できるようになられると、かなりセルフコントロールがし易くなられるのがポイントです。
セルフコントロールをされる際のイメージは、気分の波をなくす事ではなく、気分の振れ幅を小さくすることであり、その為に欠かせないのが「予測性」です。「ああ、そろそろ気分の波がやってきそうだな」ということが分かれば、予防策を講じることが出来ます。
「予測性」を考える時は、まず「外的な要因」に着目されると良いでしょう。「外的な要因」の代表的なものとしては、同僚や上司からのちょっとした一言、仕事の繁忙期、季節、天候、湿度、月経周期…等が挙げられます。
ちょっとした一言の場合は、単発のエピソード(出来事)ではなく、その積み重ねや繰り返しによって悪化していくことが大半を占めます。一言浴びせられるたびに、感情的に反応してしまい、後々までそれを引きずり、さらに次の一言によって増幅し、やがて不安や恐怖に転化してしまいます。これはネガティブなことに関してだけとは限りません。ポジティブな評価の場合も、積み重なるにつれて、感情的な認知が自己肥大してしまい、軽躁状態になっていってしまいます。
季節や天候、湿度、月経周期に影響される場合は、体質的な課題にも繋がります。生まれつき、身体の中の水の循環が滞り易いのです(=「水滞」)。その結果、眩暈や吐き気、食欲不振といった症状が出現してしまいます。
これらは見過ごされがちですが、注意してご自分をセルフモニタリングされることで、気づくことが出来ます。外的要因が把握できれば、それをご自身の予防ツールとして使うことが可能になります。
例えば、「ちょっとした一言」に反応してしまう場合は、感情的な認知が課題となりますので、出来るだけ物事を俯瞰的、客観的に捉えるように意識されると良いでしょう。また、落ち込みが来そうだと分かれば、ストレスになりそうな予定を減らしたり調整をされたりするのも有用でしょう。
気分が高揚されている時、これは往々にして「繁忙期」に起こり易いのですが、敢えて「余力」を残して一日を終えられるようにされて下さい。「徹夜をしても平気だ」「もっとやれる」等といった気分になっていたとしても、それは気分の高揚によって、溜まっている疲労に気が付かないだけですので、必ず後から「落ち込みの波」という形で反動が出てしまいます。そうならないためにも、「明日のエネルギーを残して仕事を終える」ことを、循環気質の方は意識されておくことが必須でしょう。
高揚している時も、落ち込んでいる状態の時も、無理に頑張ろうとされず、ある程度割り切って仕事をセーブすることが重要です。特に、落ち込んでいる状態の時は、高揚していた時の自分自身と比較してしまい、今のご自分に劣等感を抱き、それを払拭しようと無理に働こうとしてしまいます。しかし、そういったサイクルの時には、割り切って、出来る限り仕事をセーブし、気分の落ち込みが過ぎ去るのを待つようにされるのが良いでしょう。
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