(更新 2024年7月3日)
A.
医療法人社団ペリカン(心療内科、精神科、内科)です。
季節の変わり目(特に冬から春に向かう今の季節)や、天候が不安定な時(梅雨や台風の時期、雨の日や気圧の変動が大きい時など)に調子を崩すタイプの「自律神経失調症」の方は少なくありません。こうしたケースは、通称「気象病」とも呼ばれています(正式な病名ではありませんのでご注意下さい)。
耳の奥にある「内耳」は、平衡感覚や聴覚を司る器官ですが、「気圧」にも関係しています。気圧の変化は、「内耳」から脳に伝えられます。この「気象病」タイプの方は、この「内耳」が敏感であるため、脳に過剰な情報が送られて、「自律神経失調症」を起こすと考えられています。
具体的な症状としては、以下のようなものが挙げられます。
★梅雨時に落ち込みやすい
★雨や台風の時に調子が悪くなる
★季節の変わり目も苦手
★気圧が下がると関節などが痛む
★乗り物酔いしやすい
★慢性的な疲労感がある…………等々です。
このタイプの自律神経失調症の方は、まずは天候が安定している時期から、できるだけ自律神経のバランス(=「交感神経と副交感神経のバランス」)が上手く機能するように整えておくことが必要です。
そのために最も重要なのが「睡眠」です。しっかりと質の良い睡眠をとると、天候による不調を大幅に軽減することが出来ます。台風や天気が崩れる予報が出たら、特に意識して睡眠をとられて下さい。
症状が強い時には、漢方薬を利用してみるのも方法の一つです。内耳の血行不良や、このタイプの自律神経の不調を整える代表的な漢方薬には次のようなものがあります。
◎「半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)」・「柴苓湯(さいれいとう)」・「五苓散(ごれいさん)」:体内の「水」の巡りを良くして、内耳のむくみも改善させます。
◎「抑肝散(よくかんさん)」:イライラや不安感で夜眠れない時に、気持ちをリラックスさせてくれます。
◎「当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうがとう)」:体内の冷えを改善します。
繰り返しになりますが、漢方薬は、ただやみくもに服用するものではありません。「証(しょう)」が合わない漢方薬を服用すると、時に“副作用”が生じてしまうことすらあるのです。また「証(しょう)」は、漢方薬を服用する内に変化するケースもよく見られますので、医師とのきちんとした問診の下で、その時のご自分に最適な漢方薬を処方して貰うのが一番でしょう。
自律神経を整える漢方薬は、当院のような心療内科では、健康保険適用で処方することが可能です。心療内科において、漢方薬による治療をご希望の患者様は、ぜひこの機会にご相談されてみられては如何でしょうか。
当院では、自律神経失調症をはじめ、
うつ病、躁うつ病(双極性障害)、適応障害、
パニック症、睡眠障害(不眠症)、摂食障害(過食症)、
月経前症候群(PMS)、統合失調症、強迫症、不安症、
大人の発達障害(ADHD、自閉スペクトラム症)、
過敏性腸症候群(IBS)、更年期障害、心身症など、
皆さまの抱えるこころのお悩みに対して、
心身両面からの治療とサポートを行っております。
今後とも、医療法人社団ペリカン(心療内科、精神科)を宜しくお願い致します。
監修 佐々木裕人(精神保健指定医・精神科専門医・内科医)