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【医師監修】多動症とADHDの違いとは??

はじめに

多動症とADHDという言葉は、日常的に耳にすることが増えてきました。しかし、これらの用語がどのように異なり、どのような意味を持つのかを正確に理解している人は少ないかもしれません。この記事では、両者の違いについて詳しく説明し、皆さんが正しく理解できるように努めます。

 

多動症とは

定義

多動症とは、文字通り「多動(多く動く)」という症状を特徴とする状態を指します。子どもが落ち着きなく動き回ったり、じっとしていられなかったりする場合に「多動症」と呼ばれることがあります。この用語は、日本では一般的に使われるものの、医学的には特定の診断基準が定められていないため、やや曖昧な表現となることが多いです。

症状

多動症の主な症状は以下の通りです:
– 座っているときにじっとしていられず、絶えず動き回る。
– 教室や家庭で静かに過ごすことが難しい。
– 他の子どもよりも活動量が多い。
– 過度に話したり、騒がしくしたりすることが多い。

原因

多動症の原因はまだ完全には解明されていませんが、遺伝的要因や脳の発達に関連する要因が考えられています。また、環境的な要因や育て方の影響も一部関与している可能性があります。

 

 

ADHDとは

定義

ADHD(Attention Deficit Hyperactivity Disorder:注意欠陥多動性障害)は、多動だけでなく、注意力の欠如や衝動性も特徴とする発達障害です。ADHDは、多動症の一形態であり、より広範な症状を包含する概念です。

症状

ADHDの症状は以下の3つの主な領域に分類されます:

1. 不注意:
– 集中力が続かない。
– ミスを繰り返す。
– 課題や仕事を順序立てて進めるのが難しい。
– 物を忘れやすい。

2. 多動性:
– 常に手足を動かしている。
– 座っているときに立ち上がってしまう。
– 過度に話す。

3. 衝動性:
– 他人の話を遮る。
– 順番を待つのが難しい。
– 衝動的に行動する。

原因

ADHDの原因も完全には解明されていませんが、遺伝的要因が大きく関与していると考えられています。脳の構造や機能の異常、神経伝達物質の不均衡が影響しているとされます。また、環境要因や早産、低出生体重もリスク要因とされています。

 

 

多動症とADHDの違い

用語の違い

多動症は、単に「多動」という症状に焦点を当てた一般的な用語です。一方、ADHDは「注意欠陥多動性障害」として、多動に加えて不注意や衝動性も含む医学的な診断名です。多動症という言葉は、医学的な診断名としては使用されず、主に日常会話や教育現場での表現として使われます。

診断基準

ADHDは、DSM-5(アメリカ精神医学会の診断マニュアル)やICD-10(国際疾病分類)などの診断基準に基づいて診断されます。これに対して、多動症には特定の診断基準がないため、専門医による診断が行われることは少なく、あくまで一般的な表現として使われます。

対応と治療

ADHDの診断を受けた場合、専門的な治療が必要です。治療には薬物療法、行動療法、心理療法などが含まれます。多動症と表現される場合でも、ADHDの可能性があるため、専門医による評価が推奨されます。

 

誤解と偏見の解消

多動症やADHDに対する誤解や偏見が存在することも事実です。多動症と聞いて「ただの落ち着きのない子」と捉えられることが多いですが、実際には注意欠陥や衝動性なども含む広範な症状が存在する可能性があります。正しい理解と適切な対応が求められます。

 

 

まとめ

多動症とADHDの違いを理解することは、適切な対応や支援を行うために非常に重要です。多動症は一般的な表現として使われる一方、ADHDは医学的な診断名であり、より具体的な症状や治療方法が存在します。子どもや成人がこれらの症状で困っている場合、専門医による診断と治療が必要です。

皆さんがこの記事を通じて、多動症とADHDの違いを理解し、適切なサポートを提供できるよう願っています。また、誤解や偏見をなくすためにも、正しい情報を広めることが大切です。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

 

監修 佐々木裕人(精神保健指定医・精神科専門医)