睡眠への注目も高まって、色々な情報が広がりつつありますが、根拠のない情報や“誤解”されて広まった通説などもあり、何が正しいのか分からなくなることはありませんか? 今回はそういった内容の真偽の検証をしてみましょう。
Q1.「目覚まし時計より早く目覚めてしまうのは、睡眠不足??」
A1.「NO(誤解)」➡早く目が覚めても日中眠くなって困ることがなければ、睡眠時間は適正と言えます。逆に、就寝時間が早過ぎたことで、目が覚めてしまった可能性も考えられます。その場合は、就寝する時間を少し遅くしてみるなどして調整していましょう。
Q2.「寝る前にスマホを見るのはよくない??」
A2.「NO(誤解)」➡寝る前のスマホ利用で気を付けるべきことは、光の影響より、「何を見るのか」です。情報検索やチャットなどは避け、リラックスした癒しに繋がるコンテンツを視聴するといったように、使い方次第では良い睡眠の助けになります。
Q3.「睡眠時間によって認知症リスクが高まる??」
A3.「YES(真実)」➡1日の睡眠時間が短すぎる(3~5時間)、長すぎる(9時間以上)人は、睡眠時間が1日6~7時間の人に比べて認知症リスクが4倍以上高いことが、研究報告で明らかになっています。ここには「アミロイドβ」という物質の除去ということが関わっています。
Q4.「夢を見るのは睡眠の質が悪い証拠??」
A4.「NO(誤解)」➡夢を見るのはレム睡眠中であることがほとんどです。レム睡眠は、脳の血流量を増加させて老廃物の除去を促すなど、健康維持には重要な役目を持っています。従って、夢を見ることは健全な睡眠で、睡眠の質を損なうものではありません。一方、「夢を見なかった」と感じる時は、夢を見た後にも深い眠りが発生して、目覚める前にその記憶が薄れてしまったと考えるのが妥当です。
Q5.「眠れない時には睡眠薬に頼っても良い??」
A5.「YES(真実)」➡長過ぎる床上時間や眠れない要因を排除しても、それでも眠れない時は、睡眠薬に頼るのも選択肢の一つです。最近では依存性が低い「オレキシン拮抗薬」と呼ばれる睡眠薬も出てきていますので、医師に相談されてみて下さい。
Q6.「ぐっすり眠るために寝る前にお酒を飲んでも良い??」
A6.「NO(誤解)」➡アルコールが体内で分解される過程で、浅い睡眠になったり覚醒に繋がることが分かっています。どうしても飲みたい場合は、寝酒よりも晩酌で、寝る3~4時間前に食事と共に適量を嗜む程度にされることをおすすめします。
Q7.「横になって目をつぶっていれば、眠ったことになる??」
A7.「NO(誤解)」➡横になっていることで身体は多少休まるかもしれませんが、睡眠と同じ効果は得られません。特に、寝床について30分以上経っても眠れない時に、横になったまま無理やり目をつぶっていると、寝床が眠れない場所だと条件付けされてしまいます。そのような時は、「今は眠る必要がないのだ」と気分を切り替えて、リビングに行って読書をしたり、音楽を聴くなどして眠くなるまで待つのがお勧めです。
このコラムを読まれまして、ご自分の現在のご状況として、
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当院では、睡眠障害(不眠症)をはじめ、
うつ病、躁うつ病(双極性障害)、適応障害、不安症、
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監修者:
新宿ペリカンこころクリニック
院長 佐々木 裕人
資格等:精神保健指定医、精神科指導医・専門医
所属学会:日本精神神経学会
参考引用文献:『ハルメク 2025年8月号』