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【医師監修】復職面談で質問されることとは!?

休職から復職をされる際に、多くの方が経験されるのが「復職面談」です。これは会社の規模や基準により、その担当者や回数は異なります。ここでは、最もよくある産業医、人事労務担当者、上司の方などが休職された方と復職面接をされる場合を想定して記載していきます。

 

ここでは、休職者が休職に入られて以降、休職中の過ごし方や、リワーク(復職支援)プログラムでの取り組み、自主的に実施されていたこと…等々から、復職ができる程度に心身が回復してきているとや、働くための準備が出来ていることを説明していくことが求められます。そして(職場によっては)試験出社(リハビリ出勤)の実施方法や、復職後に必要なサポートは何かなどを話し合います。

 

繰り返しになりますが、復職面談に関わる人は、会社や職場によって一律ではありません。従って、ご自身の復職面談に関わる人を把握・整理された上で、誰と・どのような情報を・何のために共有するのかを確認しておきましょう。

 

 

1.主に産業医と確認すること

◎ 毎日通勤する体力がついているか

◎ 作業をしても翌日に疲れを残さないなど、働くために必要な体調管理がで出来ているか

◎ 定期的に通院や服薬が出来ているか

◎ 勤務や業務に関する制限や配慮……など

 

2.主に上司と確認すること

◎ 復職後、どのような業務を任せたら良いか(どんなことなら出来るか)

◎ 業務上の得意・不得意

◎ 業務上必要な配慮は何か……など

 

3.主に人事労務担当者と確認すること

◎ 復職に関わる諸手続き

◎ 配置転換の可能性の有無……など

 

また、以下に挙げる内容は復職面談においてよく確認される質問ですので、答えられるように準備をしておかれた方が良いかと思います

 ◎ 眠れていますか?

◎ 通院、服薬は出来ていますか?

◎ 主治医は復職についてどう言っていますか?

◎ 外出しても疲れは残りませんか?

◎ 現在の体調はどうですか?

◎ 体調が崩れたらどうしますか?

◎ 休日はどう過ごしますか?

◎ リワークではどう過ごされましたか? 出席率は?

◎ リワークで何を学びましたか?

◎ 休職原因は何だと思いますか?

◎ 今後、休職前と同じような状況になったらどうしますか?

◎ 再発防止策はありますか?

◎ 相談相手はいますか?

◎ 家族は協力してくいれますか? 理解はありますか?

◎ 家族が病気(あるいは保育園に入れない、介護が必要など)になったらどうしますか?

◎ 苦手な上司(あるいは同僚・部下)がいたそうですが、一緒に働けますか?

◎ 職場で嫌なことがあったらどうしますか?

◎ 前と同じ業務が出来ますか?

◎ どんな業務ならできますか?

◎ 出張や残業は出来ますか?

◎ 職場は以前と同様に忙しいですが、大丈夫ですか?

◎ 復職後はどんな働き方をしたいですか?

◎ 復職したら、どんな配慮をして欲しいですか?

◎ 業務範囲の縮小や降格についてどう思いますか?

◎ 再発しませんか?

◎ 再発しないという根拠はありますか?

◎ 再発したらどうしますか?

◎ この仕事(会社)は好きですか?

◎ またこの会社(職場)で働きたいですか?

 

 

上記のような内容の質問が聞かれるかもしれませんし、聞かれないかもしれません。しかし、復帰に関して、ご自分の気持ちを整理していく項目として使うことも可能ですので、復帰面接前に一度、ご自身の正直な気持ちを自身に問い掛けてみるのもよいでしょう。

 

復職面談の準備の一環として、ご自身で「リワーク活動報告書」を作成することをお勧めします。このような報告書やレポートを提出するかどうかは会社の個別の事情によって異なりますが、これを作成する「メリット」としては、以下のことが挙げられます。

 

★ これまでの活動や再発予防策をまとめることで、復職への具体的な見通しや自信が持てる。

 

★ 復職要件や復職面談で伝えるべき、自分の状況や状態、今後の見通し等をまとめられる。

 

★ A4用紙1~2枚で作成することで、面談で話す内容のレジュメにもなる。

 

★ 6W2Hで伝えたい情報を整理し、起承転結などの理論展開を意識して、ビジネス文書にならって作成することで、書類作成スキルの回復を確認出来る。

 

★ 休職という出来事を自分の職業人生にとって意味あるものとして位置づけ、職業人として再出発する区切りとなる。

 

 

なお、会社によっては、産業医面談が月1回しか行われないために、タイミングを逃すと復職が遅れてしまうということもあるので、復職までの手続きや書類の手配、産業医面談の予約など、スケジュール管理にも注意されて下さい。

 

 

「リワーク活動報告書」への記載事項は、以下のようなものになるでしょう。先述の復職面談での質問事項も踏まえて、復職して働くことが出来るという“根拠”を説明できるように工夫されてみて下さい。

 

 

☆ 現在の体調、生活リズム、通院や服薬状況など

 

☆ 休職原因:休職前の働き方、認知行動パターン、コミュニケーション、対人関係など

 

☆ 休職原因から検討した再発予防策:今後目指すべき体調や生活リズムの管理、認知行動パターン、対人コミュニケーションの在り方、業務遂行スキルや働き方など

 

☆ 再発予防策の実施状況:課題の改善状況、出来るようになたこと、今後の課題など

 

☆ 再発予防策を復職後にどう生かすか、復職後にも気を付けるべきこと、職場に協力して欲しいことなど

 

 

また、これまでにご自身で作成された資料を使って、活動内容を説明することもできます。例えば、ご自身の生活リズムを記録された「生活リズム表」などはその典型でしょう。

 

復職可否の判断がスムーズに行われ、職場の受け入れ態勢を整えてもらえるように、復職面談の準備を進められて下さい。

 

 

当院では、リワーク(復職支援)プログラム等を通して、患者様のお悩みにお応えできるよう試みております。カウンセリングも行っておりますので、どうぞ気軽にお尋ねください。

 

 

Presented by.医療法人社団ペリカン(心療内科・精神科・内科)

 

監修 佐々木裕人(精神保健指定医・精神科専門医・内科)

★参考引用文献:中村美奈子著復職支援ハンドブック