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医療法人社団ペリカン新宿ペリカンこころクリニック(心療内科、精神科)です。
以前の記事、「睡眠をサポートしてくれる栄養素は何ですか?」で、睡眠において重要な栄養素を紹介しました。
今回は、その中の1つ、「トリプトファン」について、解説していきたいと思います。
毎朝充分に「トリプトファン」を摂ると、朝~昼には「セロトニン(幸せホルモン)」が、夜には「メラトニン(睡眠ホルモン)」がしっかりと分泌されます。そのため、体内時計が安定し、朝はスッキリと目覚め、昼は活動的に過ごし、夜はグッスリ眠るという、理想的な睡眠サイクルへ入ることが出来るのです。
「トリプトファン」は、必須アミノ酸の一種です。「必須アミノ酸」とは、人の身体に必要な20種類のアミノ酸の中でも、体内では充分な量を合成できない8種類のアミノ酸のことであり、食べ物から摂取する必要があります。
この「トリプトファン」は、睡眠にとって重要な要素です。何故なら、トリプトファンは幸せホルモン「セロトニン」の原料となり、セロトニンは睡眠ホルモン「メラトニン」の原料となるからです。そういった意味では、セロトニンとメラトニンによる睡眠リズムは、トリプトファンから始まる、といっても過言ではないのです。
トリプトファンを摂取するのに効果的なのは、「朝食の時間」です。これは、トリプトファンがセロトニンを経てメラトニンに変化するまでに「14時間前後」掛かるためです。
よって、朝の時間帯にトリプトファンをたっぷり摂取することで、朝~昼の間にセロトニンの量を増やし、夜にはメラトニンをしっかり分泌させることが出来るのです。
トリプトファンが多く含まれている食べ物としては、牛乳や乳製品、豆や大豆製品、バナナ、アボガド、肉類、スジコ、タラコ、卵、蜂蜜、ナッツ類…等が挙げられます。
但し、トリプトファンの取り過ぎは危険です。サプリメントで大量に摂取した時に「好酸球増多筋痛症候群」という健康障害を引き起こしたという事例報告があります。フランス衛生安全庁(AFSSA)によると、成人男性(体重60kg目安)に推奨されるトリプトファンの1日の摂取量は、「220mg」です。
ちなみに、睡眠でのおすすめの食材のご紹介はこちらとなります。
当院では、睡眠障害(不眠症)をはじめ、
うつ病、躁うつ病(双極性障害)、適応障害、パニック症、
心身症、自律神経失調症、摂食障害(過食症)、不安症、
月経前症候群(PMS)、月経前不快気分障害(PMDD)、
大人の発達障害(ADHD、自閉スペクトラム症)、
統合失調症、強迫症、過敏性腸症候群(IBS)など、
皆さまの抱えるこころのお悩みに対して、
心身両面からの治療とサポートを行っております。
今後とも、医療法人社団ペリカン新宿ペリカンこころクリニック(心療内科、精神科)を宜しくお願い致します。
参考文献:坪井聡監修『思考と体がスッキリ!睡眠のしくみ』
出典:現場で使える薬剤師・登録販売者のための漢方相談便利帖症状からチャートで選ぶ漢方薬 杉山卓也著 SHOEISYA
出典:新版 毎日使える薬膳&漢方の食材辞典 阪口珠未著 ナツメ社
出典:ハーブティー事典 改訂版 佐々木薫著 池田書店
参考資料:「Kampo View」https://www.kampo-view.com/