齢を重ねるごとに、ウエスト回りが増えていく…。そのような中で、「痩せたい」と願っている人も多いことでしょう。しかし、ここで問題になるのは、「食事を抜いても痩せない」ということです。自律神経のバランスが乱れると、心身に様々悪影響が出ることは今更言うまでもありませんが、実は「肥満」も、自律神経の乱れが大きな原因になるのです。これがいわゆる「ストレス太り」なのです。
「肥満」というと、食べ過ぎ、飲み過ぎ、運動不足によるカロリー過多が原因だと思われがちですが、最近の研究によって、「自律神経の働きの低下も肥満を促進する」ことが明らかになっています。例えば、肥満の人や、太っている人は、よく異常なほどに汗をかきますが、これも自律神経の働きが低下していることが主な原因と言えるでしょう。
自律神経全体(交感神経・副交感神経とも)のバランスが低下してしまうと、身体の組織が水分を上手く吸収できなくなるので、せっかく摂った水分が汗となって身体の外に出てしまうのです。それほど水分を摂っている訳でもなく、暑いと感じているわけでもないのに、いつも大量の汗をかいてしまう…という人は、自律神経全体のバランスが落ちてしまっていると考えてまず間違えないでしょう。
食事を抜くと何が起こる…?
では、どうすれば低下してしまた自律神経のバランスをアップさせ、肥満体質から“痩せ体質”に変わることができるのでしょうか。その二大ポイントは、「食事のとり方」の見直しと運動にあります。
ここでは食事について言及します。食事は、1日3食、規則正しく、バランスよく、「美味しい」ものを楽しんで食べる、即ち、ストレスフリーが一番です。その上で、どうしても肥満が気になる人は、常に「腹六分目~八分目」を心掛けます。そうすれば、特にカロリー制限を意識されなくとも、一日の摂取カロリーも自然と60~80%に抑えられるようになります。
但し、早く痩せたいからと言って食事を抜くのは逆効果です。手っ取り早いダイエットというと、「断食」「食事の回数を減らす」という方法を思い浮かべる人も多いですが、食事を抜くと腸が動かなくなり、自律神経のバランスが乱れ、肥満体質を促進させます。食事を抜く→腸が動かなくなる→自律神経のバランスがますます低下…という悪循環に陥ってしまうのです。
そうすると、腸管の消化・吸収能力が落ち、腸内環境が悪化します。ドロドロに汚い血液しかつくれなくなり、全身の器官、細胞のエネルギー低下とともに、内臓脂肪の蓄積を招いてしまうのです。
「断食」や「食事抜き」のダイエットで一時的に体重が落ちるのは、内臓脂肪をはじめとする脂肪が落ちた訳ではないのです。健やかな心身に必要な水分、筋肉が減り、骨が痩せてしまっているだけなのです。その結果、ダイエットをやめた途端に、ますます肥満体質が悪化してしまいます。このように食事を抜いて痩せるというダイエットは、医学的見地からはお勧めできません。
腸内環境を改善するためにも、自律神経の活性を取り戻すためにも、一日3食がベストなのです。その中で、昼食も非常に大切な「中継ぎ」であることを、今一度、頭に入れておいて頂けましたら幸いです。
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Presented by.医療法人社団ペリカン(心療内科・精神科・内科)
参考引用文献:小林弘幸著『自律神経にいいこと超大全』