「もっと知りたい!漢方薬~証をもっと知ろう③~」
医療法人社団ペリカン新宿ペリカンこころクリニック(心療内科、精神科)です。
もっと知りたい!漢方薬~証をもっと知ろう~、2回(①、②)に渡ってお送りしてきましたが本日が最後です。
これを覚えれば証マスター!張り切っていきましょう。
本日は「六淫(りくいん)」についてご紹介していきます。
東洋医学では、病気を起こす外部要素。
主に気候的な要因を示す「六気(りっき)」と言う考え方があります。
それらが体の許容範囲を著しく超えると害毒となり病気の原因となると考えられているのです。
六気とは、「風(ふう)」、「寒(かん)」、「暑(しょ)」、「湿(しつ)」、「燥(そう)」、「熱(ねつ)」
許容範囲を超えた状態を「風邪(ふうじゃ)」、「寒邪(かんじゃ)」、「暑邪(しょじゃ)」、「湿邪(しつじゃ)」、「燥邪(そうじゃ)」、「熱邪(ねつじゃ)」と呼び。
これらを「六淫(りくいん)」と呼びます。
どのような状態を指すのかご説明していきます。
まずは、「風邪(ふうじゃ)」
春の時期に活発になりやすい邪気で、頭痛、めまい、くしゃみ、咳、鼻づまりなど上半身に不調が出ます。
感冒も、この風邪に他の熱邪や寒邪、湿邪が合わさって体内に侵入しで起こることが多く。
季節の変わり目に風邪をひきやすい、と言うのはこう言った六淫が合わさりやすいことがあるのかも知れません。
続いて「寒邪(かんじゃ)」
寒い時期の寒気だけでなく、夏に涼しい、冷房で体を冷やすなどでも侵入しやすい邪気です。
悪寒、発熱、頭痛などの症状が現れ、寒邪の侵入が深いとそのまま腹痛などを引き起こすこともあります。
続いて「暑邪(しょじゃ)」
夏に限らず許容範囲を超えた暑さが原因で侵入しやすい邪気です。
口渇、発熱、頭痛、イライラ、ヒステリーなど精神面への影響も大きいのが特徴です。
続いて「湿邪(しつじゃ)」
湿度の高い時期、多湿の地域で体に侵入しやすい邪気で入り込むと除去するのが大変な邪気でもあります。
水分代謝の異常から、吐き気、食欲不振、下痢、だるさ、関節痛などの症状がみられます。
続いて「燥邪(そうじゃ)」
体内を乾燥状態にする邪気です。
鼻、喉、口の粘膜を乾燥させ、痛み、鼻血など出血を引き起こします。
続いて「熱邪(ねつじゃ)」
体内の熱量を過剰にする邪気で、暑邪よりも症状が強いのが特徴です。
高熱、充血、血尿、腫れ、のぼせなど強い症状がみられ、ウイルス性発熱、熱病もこれに該当します。
これで、前の記事も含め全ての証をご紹介いたしました。
今回も一つ例を用いて六淫をまとめます。
「気虚風湿(ききょふうしつ)」
これはまず、基本的には気虚の症状があります。
気虚は気が不足している状態、原因の無い体の怠さを感じている状態ですね。
気血水のどこが不足しているのか、を見ることに加えて環境から来る証をみることで更にその人にあった漢方が選びやすくなります。
症状としては水太り、多汗、重怠さ、間接痛、むくみ、尿量減少などです。
こうした体質、病態、外的要因を合わせてその人の証を判別します。
なんとその数は100種類以上!
かつ、証はその時々で変化していくため一生決まっているものではありません。
自分の性格を知るように、自分の証を知ることでその不調は改善されるかも知れません。
ぜひ一度ご自分の証について考えてみてはいかがでしょうか?
心療内科、精神科において、漢方薬による治療をご希望の患者様。
このコラムを読まれまして、ご自分の現在のご状況として、気になる点がありました方や、興味・関心を抱かれた方は、ご受診をお待ちしております。
出典:現場で使える薬剤師・登録販売者のための漢方相談便利帖症状からチャートで選ぶ漢方薬 杉山卓也著
参考資料:「Kampo View」https://www.kampo-view.com/