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【医師監修】わたし、重度の積読なんですけど、病気ですか??

ためこみ症には、書籍デジタル関連など、特定のモノのためこみも見られます。それぞれの特徴を以下に説明していきます。

書籍ためこみ症

書籍を保管し続けている人は非常に多いでしょう。最後に読んでから何年も経っていて、一度も本棚から取り出していなかったり、講読した書籍を読まずにそのまま置いておく、いわゆる「積読」状態、途中まで読んでもそのままにしておいたりと、あとで読もうと思って保管していることは、起こりがちかもしれません。

 

「ビブリオフィリア」という言葉もあります。いわゆる読書家は本を読むことが好きな人ですが、ビブリオフィリアは本そのものが好きな人で愛書家であると言えます。これらの人たちは、書籍のコレクターであっても、書籍ためこみ症とは異なり、病的ではありません。

 

一方、「ビブリオマニア」というのは、猟書家と訳され、取集対象が書籍類で、強迫症の症状のひとつである可能性が指摘されています。書籍としての価値が無くなっても保管し続けており、同じ書籍や版を何冊も購入していることが多く、ためこまれた書籍は娯楽や趣味などに活用できる量を超えています。

 

また、健康面にも支障が生じ得ます。何故なら、棚や書籍を定期的に拭いておかないと、ホコリが溜まりやすくアレルギーの原因になる場合があるからです。加えて、湿度の高い日本では虫が繁殖しやすくにおいも生じます。さらに紙質や綴じも弱くなり、視覚的にも雑然としやすく、かなりのスペースを取り、日常生活に著しい支障が生じます。

 

デジタルためこみ症(デジタルクラッター)

 

最近注目をされているのが、デジタルに関するためこみ症です。職場や自宅のコンピューターのデスクトップがアイコンだらけの人や、保存データが多過ぎて動きが遅くなっている人はいませんか? その中で、データをためこんでいる人は「デジタルためこみ症(デジタルクラッター)」かもしれません。

 

デジタルためこみ症の特徴は、使用している人が不便なだけなので、周囲には余り影響がないことです。ただ、本人は何をするにも作業がしにくく、非常に効率が良くないでしょう。誰にも迷惑をかけないからいいじゃないか、と思われる方もいるかもしれませんが、他の人の視野に入りにくく、直接的な影響も受けにくいので、モノのためこみ症より厄介なことのもあるのです。

 

パソコンだけでばく、スマートフォンも同様です。画像データやアプリなどでメモリが一杯になっていって、新しく保存ができなくなったり、時間を要する状態がそれに相当します。

ためこみ症と似て非なる「コレクター」

 

ためこみ症コレクター(収集家)は、ともにモノをたくさん所有していますが、実は異なる状態です。ためこみ症について理解して頂くためにも、この両者の違いをお伝えしておきます。

 

コレクターは、その収集する対象物が美術品やレコード、切手などといった特定のアイテムに限定されていますが、ためこみ症の人が収集する対象物は、高価なモノから価値がなかったり役に立たないモノまで実に様々で、統合性がありません。

 

その入手の仕方も、コレクターの場合は計画性があり、対象となるアイテムに限定されますが、ためこみ症の場合は計画性がなく、大量の無料のモノや購入したモノなど入手の仕方も統一性がありません。

 

そして、最も大きな違いは、その保管方法です。コレクターの多くは、収集したアイテムは自分の好きなモノ、大切なモノですから、整理して保管しているか、または飾られていることがほとんどですが、ため込み症の場合は、まさに無秩序のクラッター状態です。

 

さらにはコレクターの場合、生活面、仕事面、経済面での支障はほとんどありませんが、ため込み症の場合は、ためこむことによる様々な支障が出てきます。そして重症度が進むほど、その支障は強まっていくのです。

 

当院では、強迫症(強迫性障害をはじめ、
大人の発達障害(ADHD、自閉スペクトラム症含む)
うつ病、躁うつ病、不安障害、適応障害、摂食障害、
パニック症、睡眠障害、自律神経失調症、心身症、
月経前症候群、統合失調症、社交不安症、
過敏性腸症候群、アルコール使用障害など、
皆様の抱えるこころのお悩みに対して、
心身両面からの治療とサポートを行っております。

 

このコラムを読まれまして、興味・関心を抱かれた方、
ご自分の現在のご状況として気になる点がありました方は、
どうぞ当院まで、お気軽にお問い合わせください。

 

Presented by.医療法人社団ペリカン(心療内科・精神科・内科)

引用参考文献:五十嵐透子著『片付けられないのは「ためこみ症」のせいだった!?