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医療法人社団ペリカン新宿ペリカンこころクリニック(心療内科、精神科)です。
「月経前気分不快気分障害(以下:PMDD)」を引き起こす要因として、大きく3つ原因が考えられます。それが「体質」「脳機能」「心理面」の3つです。
まず、「体質」に原因がある場合としては、自律神経活動に変異があったり、エストロゲン受容体αに変異があったり、正常ホルモン値への異常があったりするケースが挙げられます。PMDDを発症しやすい女性は、自律神経の活動に対する過敏な反応が見られることが分かってきています。また、環境の変化に身体がついていくのに時間が掛かったり、様々な外部の刺激に敏感に反応されたりするなど、デリケートな体質の持ち主であることも多いと言えます。また、脳内には様々なホルモンを分泌、受容する器官がありますが、その部分に先天的な変異(形の変形)がある場合には、ホルモンの活動に異常が現れます。海外の文献においても、PMDDの患者様にのみ、そのような変異や異常がある、という報告もなされています。
上記のように「体質」に原因がある場合は、「自律神経を安定させること」が最優先になります。睡眠をはじめとした生活習慣を整えること、日光をよく浴びること、上手な呼吸の体得、場合によりましては、漢方薬の処方も有効になってくることでしょう。
次に、「脳機能」に原因があるものとしては、脳細胞の機能低下や内分泌異常が見られるケース、セロトニン含有量が少ないケース、運動機能低下や血流障害があるケースが考えられます。脳の機能は生活習慣の影響を受けると言われています。特に、栄養素が足りない場合は、脳細胞が正常に機能せず、ホルモン分泌も正常になされません。また、セロトニンというホルモンは脳内でも合成、分泌され、感情バランスに大きく関わる働きをしますが、この合成量が減ることで、うつ病を発症します。運動機能低下や血流障害に関しては、基本的には全身運動を行うと脳内の血流や脳内体温は上がるのですが、この運動が十分でないことで、脳内環境が著しく低下することが知られています。
上記のように「脳機能」に原因がある場合は「体組織を再構成すること」が優先されてきます。具体的には、きちんとした栄養素の摂取、直接糖の制限、運動機会を増やすこと、などが挙げられます。
最後は「心理面」です。過去のモヤモヤが解消されないまま来られてしまわれたり、現在過度なストレスを受けてしまわれたり…等の心の問題がPMDDを引き起こす原因となり得ます。特に、PMDDにおいて、激しい怒りや不安などが起きるキッカケとなるのは、この「心理面」に拠るところが大きいとも考えられています。
上記のように「心理面」に原因がある場合は「ストレスマネジメント」が重要になってきます。対人関係の改善、過去の囚われ、将来に対する不安などを、カウンセリング等を通して、一つひとつ解決させていかれることが望ましいでしょう。
当然ながら、ストレスフルな現代社会に生きる女性たちにとって、これら3つの要素のどれか1つが原因であるとは言い切れません。大抵の場合は、この3つ複合的に関連し合いながらPMDDを引き起こしていると言えるでしょう。
そうした意味において、今の生活習慣を見直されたり、ご自身の心理的な気になりを解決されていかれたりすることは、根本的なPMDDの治療において、不可欠であるとも言えるのです。
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