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【医師監修】発達障害だとかたづけられない??

注意欠如多動症(ADHD)の特性がある人は、物事の優先順位がつけづらいという特性があります。このため、整理整頓も苦手で、机の上は書類の山、部屋はゴミであふれているなんてことも少なくありません。このような場面を緩和するためには、どうすればいいでしょうか?

 

不要なものは増える理由

 

物事の優先順位がつけづらいと、今自分に必要なものが分からなくなる状態になってしまいます。片づけられない物が増える理由は、今、その場所で必要でないものが作業する場所に置かれているからなのです。整理整頓で重要なことは、たった三つです。第一に不要な物を取り除き、第二に必要なもののスペースを確保して、第三に必要なものをすぐに使えるように管理すること、これだけです。

 

必要なものと不要な物を分ける

 

まず、必要な物と不要な物を分けます。この時に重要なのが、どの位の頻度で使うかによって、物を整理するということです。職場であれば、毎日使う文房具やノート、毎週使う種類、毎月使う資料など使用頻度によって、机に残すものを決めます。使用頻度が低ければ、自分の机で管理するよりも共有で管理するなど自分の机の上から減らすことを心がけましょう。

 

次に重要なのが「置き場所」です。使用頻度が高いものは、探しやすく、使いやすい場所で管理しないと、探す必要が出てきます。また、その道具を使わない場所に保管していること自体が無駄になるので、効率も悪くなります。そこで、探しやすく、使いやすい場所に置くことが重要です。使う場面と頻度を考えて、なるべく使いやすい場所に置きましょう。

 

家で整理整頓をする時にも、基本的には同じ考え方でよいと思います。例えば、鍵を閉め、会社に行くための「鍵」「定期券」「社員証」などは、使用する場所である玄関の小箱に入れておく…等と、使う場面と頻度を考えて、置き場所を決めていきます。そして、使ったら必ず決めた場所に戻すという習慣がつけば、ゴミ屋敷のような状態じは少しずつ緩和されていかれるはずです。

 

整理された状態を撮影する

 

発達障害の人は、視覚や聴覚などの感覚が他の人よりも優れていることがあります。視覚優位の特性を持っている人は、目から入ってくる情報を処理するのは得意です。例えば、読書の時に、音読よりも文字で呼んだ方が情報を理解しやすいという特徴があるいます。一方、聴覚優位の人は、音読の方は情報を処理しやいという傾向があります。

きれいに整理された情報を見て整理する

 

物が片付かなくなるのは、元の整理された状態を維持し続けられないという問題もあります。毎日の生活を続けていく中で、決められた場所にあった物がほかの場所に移動していたり、少しずつ不要な物が増えていったりして、乱雑な状態になっていくことがあります。

 

そこで重要なのが、つねに片づけ続けることです。視覚優位の人にお勧めなのが、机や部屋を乱雑な状態になる前のきれいな状態を撮影するという方法です。

 

きれいに整理された状態の画像と不要なものが増えてきた状態を比較して見れば、どこが乱れているのかをすぐに判断することができます。これにより整理整頓された状態を保つということも実践しやすくなります。

聴覚優位な人の整理方法

 

一方、聴覚優位な人は、視覚での情報処理や連想するといった部分が弱くなることがあります。このため引き出しに物が入っているなど自分の視界から物が消えるとどこにあるのか分からなくなる傾向があります。整理された状態を維持するには、視界からなるべく物を消さないことです。

 

こうした問題を緩和する方法が、引き出しに入れてある物を見える化する方法です。引き出しに整理してある物を付箋などで書いておくだけでも、どこに何があるのかが分かるからです。小物類は、透明なケースなどに入れておけば、何が入っているのか一目で分かるので、整理整頓に役立つこともあります。このように、それぞれの感覚に応じて整理整頓の方法を変えていくことがポイントなのです。

 

 

当院(新宿ペリカンこころクリニック)では、ご希望の患者様に、ウェクスラー成人知能検査(WAIS)を施行することが可能な医療機関となっております。

 

ご自身の能力の凸凹の可能性が気になられる患者様、とりわけ発達障害(ADHDやASDの可能性を危惧されている患者様は、御診察の際に、その旨を当院医師にお申し出頂けましたら幸いです。

 

 

Presented by.医療法人社団ペリカン(心療内科・精神科・内科)

監修 佐々木裕人(精神保健指定医・精神科専門医・内科医)

参考引用文献:Newton別冊精神科医が語る発達障害のすべて 改訂第2