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医療法人社団ペリカン新宿ペリカンこころクリニック(心療内科、精神科)です。
『アンガーマネジメント』とは、『怒りのセルフコントロール法』と言われており、
大人の発達障害の方が円滑に周囲との対人コミュニケーションを取っていく上でも、
非常に役立つスキルの一つです。
もちろん、大人の発達障害の方に限らず、
どのような方であってもお使い頂ける対人コミュニケーションスキルでもあり、
セルフマネジメントスキルでもあります。
『アンガーマネジメント』は、
その怒りが「短期的な怒り」であるか「長期的な怒り」であるか、
あるいは「自分自身の怒り」であるか「他者からの(投げかけられた)怒り」であるか、
……等々によって、有効な対処法やスキルに若干の違いがありますが、
今回は「怒り」の持つ性質でもある“大前提”をお伝えしようと思います。
日本やその他多くの文化圏において、
「怒り=出してはいけないもの、抱いてはいけないもの」という認識が出来ています。
これは何故かと言いますと、
「怒り→相手への脅威や攻撃性」に発展しやすい傾向があるからです。
逆説的に考えれば、
「怒りを、相手に脅威を与えることなく伝えることが出来れば問題はない」
とも言えるのです。
しかし残念なことに、私たちはその方法を習う機会に中々恵まれずに、大人になってしまいました。
「怒り」は「第二感情」である、と定義されています。
起きた出来事に対して、すぐさま「怒り」を感じるように思われるかもしれませんが、
どんな人であっても、「怒り」の背後には必ず「第一感情」があるとされています。
その第一感情となり得るものは様々です。
悲しみ、不安、心配、嘆き、無念、残念、期待、驚き……等々、
さまざまな感情が「第一感情」となり得ます。
例えば、自分が大切にしていたマグカップを、例え相手が悪気がなかったとしても破損してしまったとしたならば、「怒り」がつい出てしまうこともあるでしょう。
けれども、その「怒り」の背後にある「第一感情」は一体何であったのでしょうか?
「残念」「嘆き」「悲しみ」「心配」…等々
どれであったとしても不思議ではありませんが、
その感情(=第一感情)こそが「本質」なのです。
「何で割ったの!」と怒りの感情で相手に訴えても、
相手は「(わざとじゃないのに)…すみませんでした」と不承不承謝るか、
逆に「そんな所に置いておく方が悪いんですよ!」と怒りをもって応酬を始めるかが、
大方の反応でしょう。
それよりも、気持ちの本質である「第一感情」で相手に伝えた方が、
自分の本当の思いがより相手に伝わります。
「ああ、これは私が初めてのお給料で買ったマグカップだったから……残念だな……」
であったならば相手は、
「自分はいったい何ということをしてしまったのだろう…!」
といった心からの謝罪の気持ちが湧いてくるかもしれません。
これが怒りの背後にある「第一感情」を伝える、ということです。
この作業が出来るようになるには、
「慣れる(練習する)」ことが何よりの手段であり、一番の近道です。
自分が何事かに「怒り」を感じたとするならば、
その時こそが練習するチャンスなのです。
「一体自分は何にこれ程まで怒っているのだろうか。この怒りの第一感情は何なのだろうか…?」
と、ぜひ自問自答してみて下さい。
このことを行うことで、
まずは瞬時・反射的に怒りを相手にぶつけてしまうことが避けられます。
そして、自分自身の“本当の気持ち”(=第一感情)に気付くことができ、
相手に自分の気持ちを伝える必要があるのであれば、
その第一感情を穏やかに相手に伝える方が、より自分にとっても本質的であり、
相手にとっても驚異(攻撃)として受け取られずに済みます。
「怒りは(自分が)我慢すれば消えてなくなる」というのも実は大きな誤解ですので、
まずは自分の怒りの背後にある第一感情に気づき、
それを相手に伝えることから始めてみられてはいかがでしょうか。
この練習を繰り返し実践されていかれることは、
ADHD傾向のある方にとっては「衝動性」のコントロールに繋がり、
自閉スペクトラム症傾向のある方にとっては「自分の感情への気づき」に繋がっていくことも、
非常に大きなメリットだと言えるでしょう。
当院では、大人の発達障害をはじめ、
うつ病、躁うつ病、不安障害、適応障害、摂食障害、パニック障害、睡眠障害、自律神経失調症など、皆さまの抱えるこころのお悩みに対して、
心身両面からの治療とサポートを行っております。
またご希望の方には、アンガーマネジメントについてのご相談も承っております。
今後とも、医療法人社団ペリカン新宿ペリカンこころクリニック(心療内科、精神科)を宜しくお願いいたします。