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【医師監修】ADHDの薬って飲まないとダメなんですか??

日本人もアメリカ人も当然同じ人間であり、病気の種類や治療薬は同じはずです。ところが多くの国では、治療薬はその国の国民に使用して効果があり、また副作用が少ないことを国の機関(日本では厚生労働省、アメリカでは米国食品医薬品局)の規定に従って製薬会社が証明しなくては、使用することが許されていません。

 

 

ADHDの治療薬の内、日本で使用が許可されているのは、刺激薬のメチルフェニデート(商品名コンサータ)とディスレキシアンフェタミン(商品名ビバンセ)、刺激薬以外では、アトモキセチン(商品名ストラテラ)とグアンファシン(商品名インチュニブ)の4種類しかありません。刺激薬で米国ではよく使用されているアデラールやデキセドリンという薬は、日本では許可されておらず使用できません。

 

 

米国では使われているのに、どうして日本では使えないのかと理不尽に思われる方もいるかもしれませんが、日本では覚醒剤等に対する規制が基本的に米国より厳しいことなどが、許可されない理由となっています。

 

 

ただ誤解をしないで頂きたい点は、ADHDの当事者の方が意図的に刺激薬等を大量に飲んでしまうというケースは非常に少ないということです。ADHDの人でも、適切な投薬治療を受けている場合には、一般の人よりも遥かに何かの薬物依存になりにくく、また、投薬治療を受けていないADHDの人(未治療の人)と比べても明らかに依存に陥りにくいことが、長期的な研究の結果から分かってきています。

 

 

一方で、治療を受けていない十代のADHDの子ども達は、5~10倍、何らかの薬物に依存してしまいやすいと言われています。では、それらの人々は精神科でなるべく多くの処方薬をもらいたがったり、錠剤の数を増やしてもらいたがったりするのでは?という声も聞かれますが、それもまた事実ではありません。では実際には何が起きているのかと言うと、1ヶ月にこれくらいは飲んで欲しい、という処方量を飲み切ってもらえない、ということが実は大きな問題のひとつとなっているのです。むしろ、薬をきちんと飲み続けてもらうことに苦労しがちというのが、この年代には最も起こり得ることだと言われています。

 

 

いずれにしても、どのような投薬治療であれ、リスクとメリットの双方が存在します。その双方をご自身でしっかりと評価してみることが大切です。その際には、次のような質問に対する回答が重要になってきますので、ここで以下の3つの質問に関して、今一度考えてみられることをお勧め致します。

 

 

医療機関に相談する以外にも、信頼できる情報源にもあたって、この障害(ADHD)について可能な限り調べてみましたか?

 

医学療法以外にも、できることは全て試してみましたか?(繋がりをもつ、日常を構造化する、運動をして質の良い睡眠をとる、よく食べる、瞑想をする…等といった良い習慣など)。

 

自分や大切な人の人生に、この障害が及ぼしているネガティブな影響はどの程度ですか?

 

このコラムを読まれまして、気になる点がありました方や、
興味・関心を抱かれた方は、どうぞ当院まで、
お気軽にお問い合わせください。

 

 

当院(新宿ペリカンこころクリニック)では、ご希望の患者様に、ウェクスラー成人知能検査(WAIS)を施行することが可能な医療機関となっております。

 

 

ご自身の能力の凸凹の可能性が気になられる患者様、とりわけ発達障害(ADHDやASDの可能性を危惧されている患者様は、御診察の際に、その旨を当院医師にお申し出頂けましたら幸いです。

 

 

また当院では、診察と一緒に、専門の心理士(臨床心理士・公認心理師)資格を持ったカウンセラーによるカウンセリング(心理療法)も行っております。カウンセリングをご希望される患者様は、診察時に医師にご相談下さい。

 

 

Presented by.医療法人社団ペリカン(心療内科・精神科・内科)

監修 佐々木裕人(精神保健指定医・精神科専門医・内科医)

参考引用文献:『ADHD2.0 特性をパワーに変える科学的な方法