「片づけ」や「収納」「整理整頓」に関する情報が、メディアなどにはあふれています。それだけ関心度が高く、困っている人や何とかしたい人が多いということでしょう。
私たちは簡単に「片づける」という言葉を使いますが、ためこみ症の人にとっては、「片づける」という行為自体がネガティブ感情(=不快感情)を伴います。片づけはもとより、片づけることを考えるだけでも、不快になったり、不安や心配になったりするのです。そのため「片づけられない」というよりは、「片づけない」であり、片づけないことでネガティブな感情に触れない対処をしている状態だと言えます。
例えば、世の中の「片づけ本」を購入する人たち=「自分は片づけられない」と思っている人たちは、すでに片づけられない状態を自分で意識(自覚)している人たちだと言えます。だからそのような本を購入したり情報を得たりして、何とかしようとしれいるのです。
一方、ためこみ症の人たちは、周囲が感じているほどその状態を意識していません。勿論、自分の所有物の保管の状態が過剰だということを分かっている人や、そのことを恥ずかしいと思っている人もいます。しかし、繰り返しになりますが、その状態がどれほど深刻かということについては、驚くほど認識が欠如している人もいます。
例えば、モノが過剰にためこまれ、あふれている状態を指摘したとしても、「何がそんなに大変なのでしょうか?」「必要のないものは、我が家には一つもありません」と言う人さえいます。あるいは、その日、その時によって、ため込んでいる状況を認める時もあれば、そうでないという時もあります。そのために家族や友人は途方に暮れてしまいます。
ためこみ状態をチェックしてみましょう!
片づけが苦手でいつも部屋が散らかっているからといって、それがイコールためこみ症であるとは言えません。判断基準の一つとして最も分かりやすいのは、家の中の生活空間が、本来目的としたように使えないこと。そこで暮らしている人たちが生活しにくくなっているかどうかです。
例えば、モノがあふれていることによって、浴室が身体や髪を洗う場所として使えない、ダイニングテーブルでご飯が食べられない、キッチンで調理ができない、寝室で眠れない、等といったことが挙げられます。
以下の「ためこみ状態チェックリスト」で、ためこみ状態をチェックしてみましょう。以下の5つの質問について、先週1週間のあなたの状態に最も近い数字を1つ選んで、数字を〇で囲んで下さい。
問1 部屋がモノであふれて乱雑に散らかっていることや、モノが多いことが原因で、自分の部屋を使うことがどの程度困難になっていますか?
0 全く困難でない
1 ↓
2 少し困難
3 ↓
4 中程度困難
5 ↓
6 かなり困難
7 ↓
8 極度に困難
問2 他の人であれば処分するようなモノを、手放す(リサイクルに出す、売る、人に譲る、寄付する)ことがどの程度困難になっていますか?
0 全く困難でない
1 ↓
2 少し困難
3 ↓
4 中程度困難
5 ↓
6 かなり困難
7 ↓
8 極度に困難
問3 無料のモノを必要以上に集めてしまう、あるいは使用できる以上の量や買う余裕のないモノまで買ってしまうという問題が、現在どの程度ありますか?
0 全くない
1 ↓
2 少し(週に1回以下)
3 ↓
4 中程度(週に1~2回)
5 ↓
6 かなり(週に数回)
7 ↓
8 極度に(毎日)
問4 部屋がモノであふれて乱雑に散らかっていることや、モノを手放すことができないこと、あるいは、モノを買ったり手に入れてしまったりするために、どの程度の精神的苦痛を感じていますか?
0 全くない
1 ↓
2 少し
3 ↓
4 中程度
5 ↓
6 かなり
7 ↓
8 極度に
問5 部屋がモノであふれて乱雑に散らかっていることや、モノを手放すことができないこと、あるいは、モノを買ったり手に入れてしまったりするために、自分の生活(日課、仕事や学校、社会活動、家庭生活、経済面の困難)にどの程度支障がありますか?
0 全くない
1 ↓
2 少し
3 ↓
4 中程度
5 ↓
6 かなり
7 ↓
8 極度に
⇒上記のどの質問でも4以上に当てはまれば、ためこみ症の可能性があります。
このコラムを読まれまして、興味・関心を抱かれた方、
ご自分の現在のご状況として気になる点がありました方は、
どうぞ当院まで、お気軽にお問い合わせください。
当院では、強迫症(強迫性障害)をはじめ、
大人の発達障害(ADHD、自閉スペクトラム症含む)、
うつ病、躁うつ病、不安症、適応障害、摂食障害、
パニック症、睡眠障害、自律神経失調症、心身症、
月経前症候群、統合失調症、社交不安症、
過敏性腸症候群、アルコール使用障害など、
皆様の抱えるこころのお悩みに対して、
心身両面からの治療とサポートを行っております。
Presented by.医療法人社団ペリカン(心療内科・精神科・内科)
監修 佐々木裕人(精神保健指定医・精神科専門医・内科医)
引用参考文献:五十嵐透子著『片付けられないのは「ためこみ症」のせいだった!?』