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【医師監修】発達障害のせいで掃除ができない!?

「みんないつ掃除をしているの?」

 

掃除をどのタイミングでやれば良いのかが分からない…こんなお悩みはありませんか? 気が付いたら家の床が髪の毛だらけになっていたり、トイレにはトイレットペーパーの芯が散乱しており、お風呂場はカビだらけ。キッチンは油汚れでベトベトしていて、換気扇やエアコンのフィルターは引っ越してから一度も掃除をしたことがない。「やらなきゃな」とは思うものの、ついつい先延ばしてしまい、気が付いたら汚部屋に……。

 

やらない・できない・掃除嫌いの悪循環…

 

掃除と一括りにしても、換気扇の掃除と床掃除とではやることも頻度も全く異なります。よく「掃除は計画的に」と言いますが、場所・内容・頻度などを考慮して掃除の計画を立てることは簡単なことではありませんし、それを実行するとなるとさらにハードルは上がってしまいます。

 

掃除の上手い人はちょっとした汚れにすぐ気づき対応しますが、発達障害の特性としての視覚認知の弱さを抱えている人の場合、すぐに気付くことが難しくなります。

 

その結果、計画的に行う掃除も突発的に行う掃除もやらなくなってしまい、「排水溝が詰まった」「虫がわいた」などのトラブルが起きてはじめて掃除を行うやめ、手間も時間もかかって掃除嫌いに拍車がかかることになるのです。

「ながら掃除」「ついで掃除」を活用しよう

 

掃除の計画を立てたり、毎日〇分掃除をするという目標を立てたりしても挫折してしまう人は、「ながら掃除」と「ついで掃除」を駆使して、最低限の清潔感を保つ工夫がお勧めです。

 

 

「ながら掃除」とは、何か他のことをやりながらの掃除です。テレビを見ながら掃除、家族と話しながら掃除、スマホを見ながら掃除、といった感じです。用意するものはコロコロクリーナーだけで充分です。普段自分が良く居る場所から手の届く範囲にコロコロを置きます。後は、「ながら掃除」をするだけです。

 

 

ここで大事なのは、あくまで「掃除はオマケ」であるということです。何故なら、「掃除をやるぞ!」と思うと、よほど掃除が好きではない限りテンションが下がってしまうからです。テレビやスマホといった自分から進んでやっている“好き”な行動に、掃除という“ちょっと苦手”な行動をつけることで、苦手な行動へのハードルが下がります。最初の内はテレビのリモコンに「コロコロをかける」といいったメモ書きをつけて、忘れないように工夫をしましょう。習慣化して、テレビの間は掃除タイムといった癖がついてきたら、コロコロ以外の掃除も始めてみましょう。

 

 

「ついで掃除」も掃除が苦手な方にお勧めです。例えば、料理をした後、食べる前に30秒だけざっとペーパーでキッチンやコンロ周りを拭く。お風呂上りに、冷水シャワーでざっとお風呂場を流す。歯を磨いた後にティッシュで洗面台を軽く拭く。このように何かをした後に“ついでに”ちょっとだけ掃除をするのが「ついで掃除」です。掃除は、先延ばしにすればするほど、汚れがこびりついてやっかいになります。即掃除をする「ついで掃除」は一番簡単で効果が高いのです。

 

 

「ついで掃除」を行うには、手に届く範囲に掃除グッズがあることが絶対条件です。離れた場所にあると、取りに行く間に面倒になってしまいます。まずは、ご自身の日常生活のどこで、「ついで掃除」が可能を考えてみましょう。その後、掃除スポットにグッズを配置すれば準備は完了です。

当院(新宿ペリカンこころクリニック)では、ご希望の患者様に、ウェクスラー成人知能検査(WAIS)を施行することが可能な医療機関となっております。

 

ご自身の能力の凸凹の可能性が気になられる患者様、とりわけ発達障害(ADHDやASDの可能性を危惧されている患者様は、御診察の際に、その旨を当院医師にお申し出頂けましたら幸いです。

 

 

Presented by.医療法人社団ペリカン(心療内科・精神科・内科)

監修 佐々木裕人(精神保健指定医・精神科専門医・内科医)

参考引用文献:沢口千夏著ちょっとしたことでうまくいく発達障害の女性が上手に生きるための本