睡眠障害

Ⅰ.睡眠障害(不眠障害)の症状

睡眠障害(不眠障害)とは、ご自分が「眠りたい」と思われているにも関わらず、その方の年齢相応の睡眠が取れない状態が、長期に渡って継続し、日常生活や社会生活を送られる上で支障を来たしてしまう病気を呼びます。不眠障害に悩まれる患者様の訴えには、主に4つのタイプの不眠があります。

1.入眠障害寝つきが悪く、中々眠りに入れないという困難を指します。特に、「今夜も眠れなかったらどうしよう」という不安感が呼び水になり、増々眠れなくなってしまわれるといった方も少なくありません。

2.中途覚醒:夜中に2回以上目が覚めてしまい、そのまま寝つきにくくなってしまいます(すぐに再び入眠できる場合は含まれません)。加齢と共に、夜中に目が覚めやすくなる傾向があると言われています。

3.早朝覚醒太陽が昇る前の、まだ外が暗いような「早朝」に目が覚めてしまい、その後眠れなくなってしまいます。高齢者の方に多くみられます。また、うつ病の患者様の中に、このタイプの不眠を歌えられる方もいらっしゃられます。

4.熟眠障害:十分な睡眠時間を確保したにも関わらず、ぐっすり眠ったという感覚が得られなかったり、全体的に眠りの深さが浅かったりする場合を呼びます。

Ⅱ.睡眠障害(不眠障害)の原因

睡眠障害(不眠障害)の原因には、様々な事柄が考えられます。1つの原因が単独で存在していることもありますが、複数の原因が関わっていることもあります。ここでは便宜的に5つのカテゴリーにまとめて、説明をさせて頂きます。

1. 身体的要因:身体疾患や障害によって引き押される身体症状(痛み、痒み、咳、呼吸困難、悪心、頻尿等)に拠る不眠を指します。

2. 生理的要因:騒音や眩しい光、不適切な室温・湿度・寝具(睡眠環境)、時差ぼけ、生活リズムや生活習慣の変化等によって起こる不眠を指します。

3. 心理的要因:急性、あるは慢性的なストレスや、喪失体験、心的外傷体験(トラウマ)等によって眠れなくなってしまうものを指します。

4. 精神疾患関連:様々な精神疾病の「症状」の一つとして起きる不眠を指します。特に、うつ病と不安症に関しては、不眠の訴えの背景にあることが多いので注意が必要です。5. 薬剤性:鎮静剤、インターフェロン、ステロイドなどの薬剤による不眠や、アルコールやカフェイン、タバコ等の嗜好品の使用によって起きる不眠を指します。

 

Ⅲ.睡眠障害(不眠障害)の治療

睡眠障害の治療は、睡眠について、または生活リズムについて、医師からの適切な指導(睡眠指導)を主軸として進めていきます。睡眠についての正しい知識を身に付け、ご自分の睡眠と覚醒のリズムやパターンを知り、何がご自分の睡眠の妨げになっているのかを把握し、改善を図ります。

時として、ご自分が「眠りたい」と思われている睡眠時間と、年齢相応の睡眠時間との大きなズレが起きてしまっていることも珍しくはありません。生理的に丁度良い睡眠時間に対して、過剰な睡眠を取ろうとされると、入眠困難や、睡眠の全体的な質の低下にすら繋がりかねません。

このような事柄に関して、その方のご状況を総合的に把握し、良質な睡眠を得るために、その方に合った適切な指導や提案を医師が行っていきます。

そして、充分な睡眠指導によっても不眠障害が続く場合、補助療法として投薬による治療が開始されることになります。