双極性障害(躁うつ病)

Ⅰ.双極性障害(躁うつ病)の症状

双極性障害(躁うつ病)の症状の最大の特徴は、「抑うつ状態」と「躁(そう)状態」の両方が現れることです。「抑うつ状態」の時期だけを見ると、うつ病の症状と非常に近似しています。傾向としては、双極性障害の「抑うつ状態」は、不眠よりも「過眠」、食欲不振よりも「過食」が見られやすいことが言われていますが、勿論このことだけで判断することは出来ません。

双極性障害(躁うつ病)は、主に2つの型に分類されます。それが「双極Ⅰ型障害」・「双極Ⅱ型障害」です。

双極Ⅰ型障害の特徴は、「躁状態」と「うつ状態」がはっきりと分かれていることです。それは周囲の目からも明らかであり、躁状態の時は、多弁で気分が高揚し、自信満々で次々とアイディアが浮かび、眠らないのに疲れない、多額の金額を遣ってしまう…等といった状態が見られ、「うつ状態」の時とはまるで別人のようにさえ映ります。なお、双極Ⅰ型障害の患者様はご自身の「病識」が乏しいのも特徴です。むしろ「こんなに絶好調なのに、何故周囲は病院を勧めるのだろう」と思われる方が殆どです。

 

一方、双極Ⅱ型障害の特徴は、殆どの時期が「うつ状態」で占められており時折「今日はいつもより調子が良いな」と感じられる程度の、比較的軽い「躁状態」が見られるということです。このように、双極Ⅱ型障害の患者様の中には、ご自身の症状を「うつ病かもしれない」と思われて来院されることが非常に多く、医師との問診を定期的に続けている内に、「実は双極Ⅱ型障害だった」と分かることは少なくありません。

Ⅱ.双極性障害(躁うつ病)の原因

双極性障害の発症の原因は未だ解明はされていません。現段階では、遺伝性が高いこと、脳内の神経伝達物質のカテコールアミン(ドーパミン、ノルアドレナリン、アドレナリン)が関係していること、環境的なストレスも外せないこと等が分かってきている、というのが現状でしょう。

Ⅲ.双極性障害(躁うつ病)の治療

双極性障害の治療は、投薬治療が中心になります。双極性障害とうつ病では投薬が異なってきますので、ご自身の症状を医師にきちんと伝えることが重要です。そして投薬治療と並行して、患者様のセルフコントロール力を養うための、心理教育がなされる場合が多いと言えます。投薬治療により、気分が安定されてくると、ご自分の症状も把握しやすくなり、それがセルフコントロール力を養う上で大切になってきます。ご自分の躁うつの波のサイクルを掴み、躁(軽躁)の時をいかにセーブするかが、徐々に躁うつの波が緩和されていく上でのポイントとなってくるのです。