うつ病

うつ病の症状

うつ病になると、意欲や気力が衰えて、感情や興味が失われ、家事や仕事が手につかなくなってしまいます。また、そんな自分自身に対して、焦りや罪悪感を抱くようになり、「いっそのこと消えていなくなってしまいたい」とまで思うようになることさえあります。

うつ病の症状として、具体的には次のようなものが挙げられます。

① 憂うつで元気が出ない
② 物事に対して興味・関心が持てない
③ 不眠(または、過眠)
④ 食欲減退と体重の減少(または、食欲増加や過食)
⑤ 疲れ易さ・気力が出ない
⑥ 強い焦燥感がある
⑦ 思考力・集中力・決断力等の低下
⑧ 自分への無価値観や罪悪感を抱く
⑨ 死を度々考えてしまう

 

これらの項目の内、「① 憂うつで元気が出ない」、または「② 物事に対して興味・関心が持てない」のどちらかを含む5つ以上の項目が、2週間以上続いた場合、うつ病である可能性が出てきます。

うつ病の初期症状として、一番気付きやすいものが「③不眠(または、過眠)」といった「睡眠障害」だと言われています。実際、うつ病と診断をされた患者様の内、9割以上の方が、何らかの睡眠障害に悩まされているというデータがある程です。よって、睡眠障害の治療がキッカケとなり、うつ病の早期発見に繋がることも少なくはありません。うつ病は「早期発見・早期治療開始」が、何よりも重要視されています。

まれに、精神症状が現れにくいタイプのうつ病の方もいらっしゃられます。うつ病は、一般的には、気分の落ち込みや意欲の低下といった、精神面の症状が強く現れる病気です。しかし近年では、うつ病が身体化する方も少なくありません。具体的には、精神症状よりも、倦怠感、頭痛、動悸、食欲不振、息苦しさといった身体面の不調が強く出てしまうタイプの方です。このように、身体症状が前面に出て、精神症状を見えにくくしていることから「仮面うつ病」と呼ばれています。このタイプのうつ病の方は、まさかご自分がうつ病だとは思われず、多くの科や病院を巡られ、心療内科や精神科にたどり着くまで、かなり労力や時間を費やされてしまうこともあります。

Ⅱ.うつ病の原因

うつ病はなぜ起こるのかその原因やメカニズムは未だ解明されていない部分が多々あります。「内因性」「心因性」「身体因性」という要因で考えられる場合もありますし、脳内の神経伝達物質が関連しているとされる説(「神経伝達物質仮説」)も提唱されてきています。

「内因性」が示すような遺伝的な素因は確かにあるようです。しかし、それよりもむしろ、掛かってくるストレスの大きさ(量・質)と、そのストレスをどのように受け止めるか(知覚・認知)といった「心因性」の方が、より大きな要因となり得るという考え方が優勢であると言えるでしょう。

Ⅲ.うつ病の治療

うつ病の治療で、まず重要になるのが、うつ病によって起こった睡眠障害(特に不眠の場合)の治療です。この睡眠の問題が改善するだけで、かなり症状が軽快される方も少なくありません。

まずは、ご自分の心身をゆっくり休めるようにすることが、何よりも優先されます。そこでは、医師による支持的かつ受容的な精神療法が行われ、その方の症状や必要に応じて、投薬治療(薬物療法)がなされます。投薬治療の目的は、患者様の憂うつな気持ちや、不安や焦りの気持ちを和らげたり、時には、気力や意欲を高めたりするために行われます。

加えて、心理師による心理療法が併用されることがあります。心理療法は実に多種多様なものがありますが、うつ病に対しては「認知行動療法」が高い効果が期待できる、という効果実証研究(エビデンス)が出ています。

うつ病は、正しい治療を行うことで、多くの方はきちんと回復(寛解)することが出来ます。但し、「再発リスク」というものは存在します。その点は、治療が一旦終結された後も、患者様の日々の自助努力が欠かせません。その具体例を、以下に挙げさせて頂きます。

勿論、これらは一例に過ぎません。他にも様々な再発防止(再発予防)の方法が存在します。治療を進められていかれる内に、きっとご自分に最適なものが見つかることでしょう。皆様の治療とご回復、寛解。そして再発防止のために、医師・心理師・スタッフ一同、尽力させて頂いております。

今後とも、医療法人社団ペリカン六本木ペリカンこころクリニック(心療内科、精神科)を宜しくお願い致します。