適応障害

その症状、適応障害かも?

自己チェックリスト!

次のチェックリストに当てはまる項目がいくつかある場合、適応障害の可能性があります。自分自身や周りの方が気づいていないだけで、実はストレスを抱えていることがあるかもしれません。

☑最近、何か大きな変化やストレスの原因となる出来事があった。

☑その出来事がきっかけで、気分が落ち込んだり、不安を感じるようになった。

☑仕事や学校に行くのがつらくなっている。

☑何をしても楽しさや喜びを感じられなくなった。

☑夜、眠れないことが増えた。

☑食欲が落ちた、または食べ過ぎてしまうことが多くなった。

☑イライラしやすく、家族や友人に当たってしまうことが増えた。

☑体調が優れず、頭痛や胃の不調などが頻繁に起こる。

もし、いくつかの項目に当てはまる場合は、無理をせずに、すぐに当院にご相談ください。適応障害は適切な治療で回復します。特に、ストレスの原因に早めに対処することで、症状の悪化を防ぐことができます。

 

Ⅰ.適応障害とは?

日常生活で、だれしもがストレスを感じることがあります。しかし、そのストレスがあまりに強いと心身に不調が出ることがあります。このような状況を適応障害と言います。つまり、きっかけとなる何らかのストレスが明確にあり、それに直面したことにより引き起こされます。心療内科、精神科を受診される患者様のかなりの方々が、この適応障害が主診断となる場合が多いことが知られています。

例えば、職場や学校、ご家庭等における特定のストレス(例:異動・定年、進学・転校、結婚・離婚等)に直面されたことが引き金となり、抑うつ気分や不安にさいなまれたり、場合によっては出社や登校、外出ができなくなってしまったりすることも起こり得ます。

これらの症状は、一見するとうつ病や不安症とよく似ていますが、それらの診断分類には当て嵌まりません。言い換えると、うつ病や不安症のような症状(抑うつ気分や不安感)があり、そのために日常生活や社会生活に支障が出ているものの、どちらの診断基準も満たさないものを、「適応障害」と呼んでいるのです。

適応障害は、特定のストレス因によって起こります。ストレス因に直面してから、3か月以内に症状が現れ、そのストレス因が除去されると、6か月以内に治まります。但し、職場や学校、ご家庭等における特定のストレス因ですので、そう簡単に除去することは難しいのが現実です。そのためストレスが慢性化してしまい、時として、うつ病や不安症に診断が変わってしまう(重症化してしまう)こともあるので、注意が必要です。

適応障害の主な症状

適応障害の症状は人によって異なりますが、以下のような症状が現れることがあります:

☑気分の落ち込み:気持ちが沈み、元気が出ない。

☑不安感:常に緊張していたり、将来に対して不安を感じる。

☑イライラ:些細なことで怒りっぽくなる。

☑眠れない:夜、眠りが浅くなったり、寝つきが悪くなる。

☑集中力の低下:仕事や勉強に集中できない、ミスが増える。

☑体の不調:頭痛、胃の痛み、肩こりなど、体にもストレスが影響することがある。

 

 

Ⅱ.適応障害の原因

適応障害の原因は、通常3か月以内に起きた何らかのストレスとされます(なお、実際には3カ月以上前のこともあります)。ただし、それは事故、犯罪被害、被災といった即座に身の危険を感じた出来事、身近な方との死別は除外されます(これらには別の診断名がつきます)。

職場においては、異動(転勤)、上司が変わる、職位が変わる、社内システムの大がかりな変更、労働条件(時間・場所・賃金)の大きな変更、職場の人間関係の大きな変化といったものが、ストレス因となり得るかと思われます。そして、同じストレスを受けても、適応障害に至る方もいれば、そうでない方がいるのも事実です。昨今のコロナ渦における勤務形態(あるいは、学習環境)の大きな変化も、その典型例と言えるのかもしれません。

 

 

Ⅲ.適応障害の治療

適応障害の治療は、その「発症の原因となったストレス因」に対して、いかに対処をされていかれるかということに尽きるでしょう。もし、そのストレス因から物理的・精神的に距離を取ったり、何かしら調整をしたりすることが可能であるならば、それを行うに越したことはありません。

但し、そのような環境調整がすぐに可能である場合ばかりではないのが実際でしょう。そういった場合には、まずはご自身の心身の状態をしっかりと整えた後、そのストレス因に対して、どのような対処(=ストレスコーピング)が可能であるかを、検討されていかれることになります。

その際に、専門の知識を持っている医師や心理師による各種精神療法(心理療法)が、きっと役に立つことでしょう。当院では、患者様の置かれていらっしゃられるご状況をしっかりとお伺いし、患者様にとって最適と思われる各種精神療法・心理療法を実施しております。

 

 

適応障害は早めの対応が大切

適応障害は誰にでも起こり得るものですが、放っておくと、日常生活に大きな影響を与えることがあります。症状が現れたら無理をせず、自分を大切にするためにも早めに専門医に相談してください。適切な治療を受けることで、日常生活を取り戻すことができます。


適応障害についてもっと知りたい方、または不安がある方は、当院までお気軽にご相談ください。専門のスタッフが一緒にサポートします。

 

監修 佐々木裕人(精神保健指定医・精神科専門医・内科医)

 

参照

 

適応障害の予兆を捉え、進行を防ぐ3つのポイント―産業医のメンタルヘルス事件簿vol.8

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【医師監修】適応障害の主な4つの症状と治し方!うつ病との違いや顔つきの特徴を解説!

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