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医療法人社団ペリカン六本木ペリカンこころクリニック(心療内科、精神科)です。
以前同コラムにおいて、「『過呼吸症候群』『過換気症候群』とは?」のタイトルで、その疾病について「概説」を書かせて頂きました。今回はその「2回目」です。
「過呼吸症候群(過換気症候群)」は、長期に渡って心労が重なり、その結果、突然胸に圧迫感を覚え苦しくなります。これは、ストレスが“呼吸器系”に現れた場合の症状の典型とも言えます(参照:「ストレスによって引き起こされ得る病気を教えて下さい」)。
過呼吸症候群では、「空気が足りない」という感覚に陥ります。すると、それを補おうとして、せわしなく息を吸い、そして吐くという「頻呼吸」となります。
頻呼吸が続くと、血液中の酸素の濃度が上がるのと同時に、二酸化炭素の濃度が下がります。肺から取り込まれた酸素は、ヘモグロビンと結び付いて全身の細胞に送られますが、その際に、二酸化炭素は、細胞への酸素の引き渡しに重要な役割を果たしています。この二酸化炭素が足りないと、細胞に酸素が供給されず、酸欠に陥ってしまうのです。
また、血液中の二酸化炭素の減少は、血管の収縮、特に脳血管の収縮を引き起こします。その結果、手足のしびれ、めまい、頭がボーッとする、だるい、身体が重い、筋肉がこわばる…等といった諸症状が出ます。それらの身体変化が、更に恐怖をもよおさせ、過呼吸が悪化していきます。
対処法は、以前は紙呼吸法(ペーパーバック法)といって、紙袋を携帯して、発作が起きたらその中で呼吸するという方法が推奨されていましたが、窒息してしまう例のあることから今は勧められていません。
それよりも、両手で水をすくうような形を作り、鼻と口を覆い、その中で呼吸をするようにします。このやり方ですと、もちろん窒息することはなく、安全に血中の酸素濃度を下げ、二酸化炭素濃度を下げることが出来ます。
過呼吸とそれに伴う手足の痺れは、「このまま窒息してしまうのではないか」「脳に異常があるのではないか」「このまま死んでしまうのではないか」といった強い不安を惹起させます。しかし、この症状はあくまでも一次的なものです。救急車で病院に運ばれても、運ばれている途中や、病院に到着する頃には、通常の状態に戻っていることもしばしばです。それでも気になられて、精密検査を受けられたとしても、「異常ありませんね。安心して良いですよ」で終わることでしょう。
ここで重要なのは、過呼吸症候群では、決して窒素することもなく、脳に異常もなく、ましてや死ぬことなどあり得ないので、決して過剰な不安を抱かないようにされることの方が肝要だということです。何故なら、ここで過剰な不安、予期不安、人混み回避等を常に気にされてしまわれると、今度は「パニック症」という形で、常態化してしまわれると、治療が必要になってきてしまうからです。
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