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医療法人社団ペリカン六本木ペリカンこころクリニック(心療内科、精神科)です。
日本でもアメリカでも、慢性的に不眠の症状を抱えている人は、およそ20~30%いるとされています。そして「不眠症(睡眠障害)の治療には睡眠薬」というのが一般的になっています。
今は、副作用に少ない良い薬も出てきています。ただ、気になるのが、常用性と依存性の点でしょう。「服用量が徐々に増えてしまっている」「睡眠薬を飲まないと眠れない」といったお悩みをお持ちの方も少なからずいらっしゃられるかと思います。
しかし反面、不眠症(睡眠障害)は「プラセボ効果(偽薬効果)」が高いことが知られています。実際に、入院中に不眠症状を訴える方は多くいらっしゃられ、これ以上睡眠薬を増やすにはリスクが伴う場合に、行われることがあります(その時は、必ず事前にご家族の同意を取ってから行われます)。そういったリスクの高い患者様に、ただのビタミンで出来た錠剤であっても、医師が「これはかなり強い睡眠導入剤です」と言って処方すると、不思議なことに患者様はそのまま上手く眠れてしまうのです。
つまり、睡眠はそれだけ「脳(心)」との関わりが深いものだと言えます。入眠時に気になることや不安なことを考えていると、どんどん眠りにくくなっていってしまう経験はないでしょうか。
そこで薬を増やすことなく(あるいは、薬に抵抗感が強い方の)不眠症の治療に用いられるようになってきたのが「認知行動療法」と呼ばれる心理療法なのです。
認知行動療法は、その方の「認知(=物事の考え方・捉え方)」と「行動」にアプローチをしていきます。
例えば、「仕事のプレッシャーで眠れない。自分の場合はお酒を沢山飲めさえすれば眠れる」という考えのもと、寝る直前に大量のアルコールを摂取される人がいたとします。これは誤った「認知」と「行動」の典型例でしょう。
何故なら、寝る直前の大量のアルコール摂取は、眠りを浅くし、睡眠の質を確実に下げてしまいます。加えて、アルコールの利尿作用と、飲酒による水分摂取により、トイレに行きたくなってしまい、夜中に何度も中途覚醒を繰り返してしまうことすら起こり得ます。
そこで、「仕事のプレッシャーで眠れない。だから良く眠るための睡眠メソッドを取り入れれば大丈夫」という、睡眠に対する正しい知識を理解された上で(認知)、正しい行動を選択するようにします(行動)。その行動が“習慣化”すれば、仕事のプレッシャーによる不眠は徐々に解消していきます。これが、オーソドックスな「眠りの認知行動療法」と言えるでしょう。
認知行動療法の長所は、患者様それぞれの特性に併せた、かつ、より効果が期待できる内容にカスタマイズできることも、認知行動療法の大きな特徴となります。
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