こころのペリカン便り

Column

【心療内科Q/A】「『期待値を下げる』とは、どういう意味ですか?①」

A.

医療法人社団ペリカン六本木ペリカンこころクリニック(心療内科、精神科)です。

 

 

うつ病適応障害を予防・治療する上で、非常に大切になってくる概念として完璧主義」や「二分割思考(全か無か思考)」に陥らないようにする、ということが挙げられています。そして、何事も程よい塩梅」「良い加減を一番とし、「完璧主義」ではなく最善主義を目指していくようにされることが大切になってきます。

 

 

では、「程よさ」を目指すにはどうしたら良いのでしょうか。その一つは、百点ではなく、60点位で満足するように心掛けることであり、60点で感じられる喜びを大事にするということです。

 

 

それは言い換えれば、期待値を下げるということです。何故なら、人は誰しも、自分が望む期待値と現実のギャップの分だけ、フラストレーションやストレスを感じるからです。よって、期待値が高ければ高い程、同じ現実に遭遇された時に、落胆やストレスも大きくなってしまいます。

 

 

実際に、完璧主義な方は、適応障害やうつ病になりやすいと言われています百点をいつも目指していると、例え95点であっても、不満足な結果として感じられていまいます。これは、課題や仕事に関してのことだけではありません。対人関係においても同様のことが言えます。いつも人に愛されたい、認められたい、評価されたい…等といった承認欲求が強すぎる方の場合、他者から些細な非難を受けただけでも、言いようのない強い不安に囚われてしまうのです。

 

 

「完璧主義」ではなく「最善主義」でいくこと。百点ではなく60点で満足すること。皆から評価されることを期待するのではなく、自分を評価する人も居れば、評価しない人も居て当然だと思ってみること(実際、優れた人ほど、風当たりも強くなり、中傷も増えます。中傷は、存在感の裏返しでもあるのです)。これらを意識されてみられて下さい。

 

 

夫婦、恋人、パートナー間の関係性においても、百パーセントを求める(=期待する)と、足りない所だらけで嫌になってしまうでしょうが、60%位で満足するようにされれば、それより良い関係性になった時に、大満足できるようになるのです。

 

 

実際に人間関係において、よく起こり得ることとして、相手に無意識の内に「期待」をし過ぎてしまい、それが叶わなかったり、急遽予定が変わってしまったりされた際に、「期待」という一見ポジティブに見える感情から、一変「怒り」へと転化してしまうというケースです。これは、今まで書いてきたお話にも通じますし、「怒り」の第一感情として「期待」という感情も含まれていると説明することもできます。

 

 

また、学生の内には絶対にとは言えませんが、社会人になられて以降、多くの皆様が受検されていかれる諸々の資格試験は、「百点近くでないと合格しない」というものは、限りなく少なくなっています。多くの資格試験は、通常60%~高くても70%あたりを「合格点(資格試験突破)」と定めていることも、この「最善主義」を後押しする材料になるのではないでしょうか。日々忙しく働きながら、それと同時並行して資格試験の勉強をされる方にとって、「完璧(百点)」を目指すことは、非常に難しいと言わざるを得ないのが、現実なのです。

 

 

 

このコラムを読まれまして、ご自分の現在のご状況として、

気になる点がありました方や、興味・関心を抱かれた方は、

どうぞ当院まで、お気軽にお問い合わせください。

 

 

当院では、うつ病適応障害をはじめ、

躁うつ病、不安症、ストレス関連障害、心身症、

自律神経失調症、睡眠障害(不眠症)、パニック症、

摂食障害(過食症)、月経前症候群(PMS)、強迫症、

統合失調症、過敏性腸症候群(IBS)、冷え性、

大人の発達障害(ADHD、自閉スペクトラム症)など、

皆さまの抱えるこころのお悩みに対して、

心身両面からの治療とサポートを行っております。

 

 

また当院では、診察と一緒に、専門の心理士(臨床心理士・公認心理師)資格を持ったカウンセラーによるカウンセリング(心理療法)も行っておりますカウンセリングをご希望される患者様は、診察時に医師にご相談下さい。

 

 

今後とも、医療法人社団ペリカン六本木ペリカンこころクリニック(心療内科、精神科)を宜しくお願い致します。