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医療法人社団ペリカン六本木ペリカンこころクリニック(心療内科、精神科)です。
ストレスが、心身の不調や病気の発症・憎悪に大きく影響していることは、一般的にも良く知られています。しかし、病気の発症の有無や、症状の程度には、個人差が見られます。つまり、同じストレスに曝されても、健康を維持できる人と、そうでない人が存在するのです。
米国の心理学者のKobasaは、ストレスフルな生活をしていても健康を維持している人の特徴を調べ、『ハーディネス』というストレスを緩和する性格特性を提唱しました。
『ハーディネス』とは、ストレスフルな出来事に対する“頑強さ”、“傷つきにくさ”と表現できる個人の(性格)傾向のことを指しています。そして『ハーディネス』は、次の3つの構成要素(=3つの「C」)から成り立つとされており、それが「コミットメント(Commitment)」「コントロール(Control)」「チャレンジ(Challenge)」です。
①「コミットメント」:「何事にも積極的に関わっていこうとすること」
コミットメントとは、「経験しているものに対して、疎外感を覚えるよりもむしろ、自分自身を関わらせていく傾向」のことです。つまり、自分にとって何か脅威に感じる出来事(=ストレス)が起こったとしても、自分自身の持つ能力や目標を再認識した上で、その出来事を主体的に受け入れて関わっていこうとする傾向のことを言います。
コミットメント傾向の強い人は、自分自身、そして自分の周囲の環境を興味深く、価値あるものと考え、どのような状況に対しても、好奇心をもって、その中に意義を見つけることが出来ます。
従って、対人関係においても、必要な時には他者からの援助を受けることが出来るのと同時に、自分自身の持つ資源(=サポート資源)も他者への援助として提供すべきである、という価値観をもっています。つまり、自分自身だけでなく、他人の価値観を理解し、仕事や家族等の人間関係を含む多くの生活状況に対して、積極的に自分自身を関わらせていくことができる、という特性です。
逆に、コミットメント傾向の弱い人は、出来事に対して意義を見出しにくく、他者との有意義な関わりが出来ずに、疎外感を感じやすい傾向にあると言われています。
②「コントロール」:「運命は自分次第で切り開けると考えること」
コントロールとは、「生活上、さまざまな偶発的な出来事に直面したとき、無力感を感じるよりもむしろ、自分がその出来事に影響を及ぼすことができると感じ、行動する傾向」のことです。
自分にとっての脅威(=ストレス)となる出来事に見舞われた時に、コントロール傾向の弱い人は、「自分の力ではどうしようもない」「何をしても無駄だ」「運命だから仕方がない」といった無力感に支配され、物事に対して積極的な努力をせずに、受動的・回避的になりがちです。そのことが、さらに状況を悪化させ、結果としてストレスを増幅させることもあります。
コントロール傾向の強い人は、他者の行動や運命にただ従うのではなく、自分の努力次第で、周囲に対して何かしらの影響を及ぼすことが出来ると信じて行動します。そして、それらの事象を自分の生活の中に上手く組み込んで、全体的に調和したものへと変化させることが出来るのです。
③「チャレンジ」:「変化を恐れず、自分にとってのチャンスとして捉えること」
チャレンジとは、「安定よりは、むしろ変化が生活上普通のことであり、その変化は脅威というよりも、興味深い成長への刺激であると考える傾向」のことです。
人生では、周囲の環境や自分の立場が永遠に安定しているということはあり得ません。例えば、転居・転勤・就職・結婚・家族の独立・突然の解雇など、常に環境の変化の危機に私たちは直面しており、こうした変化が、心身にマイナスの影響をもたらすことも少なくはありません。
よって、チャレンジとは、日常におけるそれらの変化を、自分をより成長させていくための“良い機会”として肯定的に受け止め、それらに積極的に向かい合っていく個人の傾向に他なりません。
チャレンジ傾向の強い人は、生活を向上させるのは、容易さや安全さではなく、変化から自分が得た成長であると信じて行動できますが、チャレンジ傾向の低い人にとっては、変化は現状を破壊する脅威以外の何物でもない、と認知されてしまうのです。
ハーディネス傾向の強い人は、例えば、職場内で全くの未知の部署に配置換えとなった場合においても、ただ戸惑いを感じるのではなく、「自分のキャリアアップのチャンスだ!」と捉えて、仕事に向き合うことが出来ます。他にも、見知らぬ土地に転居した場合でも、孤独に打ちひしがれるのではなく、積極的に地域に出て、新しい隣人たちと関わっていくなど、遭遇した出来事の中に、何らかの意義や意味を見出し、自らの為すべきことを現実的に検討し、状況に積極的に関わることができます。
逆にハーディネス傾向の弱い人は、遭遇する出来事を“脅威”として、受動的・否定的に捉えてしまい、現状を打開する方法も見出せないまま、無力感に支配され、心身両面に悪影響が生じてしまうのです。
当院では、適応障害をはじめ、
うつ病、躁うつ病(双極性障害)、睡眠障害(不眠症)、
自律神経失調症、心身症、ストレス関連障害、
パニック症、不安症、摂食障害(過食症)、強迫症、
月経前症候群(PMS)、統合失調症、過敏性腸症候群、
大人の発達障害(ADHD、自閉スペクトラム症含む)等、
皆さまの抱えるこころのお悩みに対して、
心身両面からの治療とサポートを行っております。
また、診察と一緒に、専門の心理士(臨床心理士・公認心理師)資格を持ったカウンセラーによるカウンセリング(心理療法)も行っております。カウンセリングをご希望される患者様は、診察時に医師にご相談下さい。
今後とも、医療法人社団ペリカン六本木ペリカンこころクリニック(心療内科、精神科)を宜しくお願い致します。