こころのペリカン便り

Column

【心療内科Q/A】 「『境界性パーソナリティ障害』の方の“病前性格”とは?」

A.

医療法人社団ペリカン六本木ペリカンこころクリニック(心療内科、精神科)です。

 

 

前回は、境界性パーソナリティ障害」の方の「状態像(臨床像)について記載させて頂きました。今回は、境界性パーソナリティ障害」の方の「病前性格(発症する前の性格)について書かせて頂きます。

 

 

主に思春期~成人早期にかけて発症する「境界性パーソナリティ障害」ですが、その発症前の患者様の病前性格に関して、日本においては「親の言いつけを良く守る真面目な良い子」であることが非常に多いとされています。むしろ、親は教育熱心な傾向があり、過保護・過干渉傾向が強く、子どもは「親の言う通りにしていれば間違いない」と黙々と課題をこなしていかれる努力家で優等生タイプであるとも言えるでしょう。

 

 

ただ、そういった親の過保護・過干渉下で育つため、その分自分の意志は希薄になってしまいます。そのため、思春期になっても十分な自己(自分らしさ)が育っておらず、反抗期らしい反抗期もなく、親からの精神的な自立が十分に出来ていないまま成人されてしまわれたケースが多く見られます。

 

 

またアメリカでは、幼児期の虐待が主な原因と言われており、日本でもアメリカほどではありませんが、やはり虐待からのサバイバーの方もいらっしゃられます。

 

 

この、親からの過保護・過干渉下で育たれた方と、虐待サバイバーの方との共通するところは、親の影響の大きさと「親からの適切な精神的分離の困難性という側面です。そして親のイメージ(イマーゴ)が強すぎる余り、自分のイメージ(自己像)が形成されにくくなってしまったことが、共通する背景要因の一つであると考えられています。

 

 

但し、これらの背景要因や病前性格を持った方が、必ずしも“発症”する訳ではありません恋愛の失敗、進学や就職の失敗といった、それまでに出会ったことのない何らかの挫折体験や、強いストレスが引き金となり、それまで「親の良い子」でいた方が、一挙に変貌してしまうのです。それが極端な場合、「境界性パーソナリティ障害」の発症に至ることが間々あるという訳です。

 

 

発症時期がちょうど「統合失調症」の好発年齢とも重なることや、一時的な状態像「統合失調症様(よう)症状」と言います)としては近似しているため、最初は「統合失調症」と診断されてしまわれる方も少なくありません。しかし、経過をきちんと追っておくと、統合失調症との異なりは明確になってくるのです。

 

 

 

当院では、

うつ病、躁うつ病(双極性障害)、不安症、適応障害、

心身症、ストレス関連疾病、睡眠障害(不眠症)、

大人の発達障害(ADHD、自閉スペクトラム症)、

パニック障害、自律神経失調症、冷え症、摂食障害、

月経前症候群、更年期障害、統合失調症、強迫性障害、

過敏性腸症候群、境界性パーソナリティ障害など、

皆さまの抱えるこころのお悩みに対して、

心身両面からの治療とサポートを行っております。

 

 

また当院では、診察と一緒に、専門の心理士(臨床心理士・公認心理師)資格を持ったカウンセラーによるカウンセリング(心理療法)も行っておりますカウンセリングをご希望される患者様は、診察時に医師にご相談下さい。

 

 

今後とも、医療法人社団ペリカン六本木ペリカンこころクリニック(心療内科、精神科)を宜しくお願い致します。