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医療法人社団ペリカン六本木ペリカンこころクリニック(心療内科、精神科)です。
今回は、ネット依存やゲーム依存の治療に有効とされる「認知行動療法」についてご紹介させて頂きます。
ネット依存・ゲーム依存は、「行動」依存の一つです。ある「行動」に異常に執着してしまっている状態であるため、その「行動」に走らせてしまう思考パターンを正常化させ、依存状態を解消しようとするのが認知行動療法です。
思考パターンを正常に戻すためにはどうするのか、その時に使われる概念が「認知の歪み」と呼ばれるものです。「認知の歪み」では、物事に対する認知の仕方に、かなりのバイアス(偏向)が掛かってしまっていることで「認知の歪み」が起きてしまっていると捉えます。その「認知の歪み」と呼ばれるものの代表格(典型例)として、以下のようなものが挙げられます。
- 白か黒か、100か0か、全か無か、といった二者択一的な考え方
- 何でも極端に悲観的に捉えてしまう「マイナス思考」
- 物事を過大評価したり、過小評価したりする傾向
- 論理を飛躍させ過ぎてしまう傾向
- 物事に対して「レッテル貼り」をする傾向
- 「~すべき」という考え方に縛られてしまう傾向
- 何でも自分のせいにしてしまう「自己責任化」
――といったものがあります。
このような認識をしてしまう傾向、即ち「認知の歪み」が、その方の思考パターンをいつの間にか徐々に変えていってしまい、通常では考えられないような「行動」に走らせてしまう、という訳です。認知行動療法では、この「認知の歪み」を正していくことで、思考パターンも正常化していくものと考えられています。
そのためには、まずはご本人が、ご自身の抱える「認知の歪み」が何なのか、どの程度のものなのかを認識しなければなりません。そのために、前回のコラムにてご紹介しました「生活行動記録法」が役立ちます。自分の生活行動を記録して、生活の実態を把握されることは、ご自身の「認知の歪み」に気付く良いキッカケにもなるのです。
ネット依存やゲーム依存になった方々は、そうなった原因や理由は様々でも、共通するのは、やはり思考パターンの偏りです。ネット(ゲーム)への依存状態を“異常な状態”であると認識できなくなっているとも言えます。特に若年層の場合、そもそも依存状態を悪いとは思っていないことも多いのです。
認知行動療法が依存に有効とされるのは、こうした思考(認知)の歪みを治すことができると期待されているからです。
これは勿論、家族だけではできません。医師や心理師など、治療者(第三者)の介入が必要ですが、こうした治療の試みはやってみる価値は大いにあると言えるでしょう。
まず、「依存」を健全な社会生活からかけ離れた異常な状態と知ること、そして、そこから抜け出すために様々な刺激(運動・治療者との会話・自助グループの仲間の存在など)によって認知の歪みを直し、自分の思考パターンを変えていくことに是非挑戦されてみては如何でしょうか。
このコラムを読まれまして、
ご自分の現在のご状況として気になる点がありました方や、
興味・関心を抱かれた方は、
どうぞ当院まで、お気軽にお問い合わせください。
当院では、ゲーム障害、ネット依存、スマホ依存をはじめ、
大人の発達障害(ADHD、自閉スペクトラム症含む)、
うつ病、躁うつ病、不安障害、適応障害、摂食障害、
パニック障害、睡眠障害、自律神経失調症、心身症、
月経前症候群、統合失調症、強迫性障害、
過敏性腸症候群、アルコール使用障害など、
皆さまの抱えるこころのお悩みに対して、
心身両面からの治療とサポートを行っております。
今後とも、医療法人社団ペリカン六本木ペリカンこころクリニック(心療内科、精神科)を宜しくお願い致します。