A.
医療法人社団ペリカン六本木ペリカンこころクリニック(心療内科、精神科)です。
物を失くしてしまう(紛失してしまう)ことは誰しも経験のあることです。
しかし、ADHDの方の場合、家の鍵やパスポート、財布のような重要度の高いものであっても、1年の内に複数回紛失してしまいます。その紛失の頻度は、「忘れっぽい人」で想像されるイメージ以上です。
物の紛失はADHDの中でも「不注意」の特性によって起きる代表的な症状の一つで、以前同コラムでご紹介しました「トリプルパスウェイモデル(三重経路モデル)」では、「抑制機能の障害」が関係しています。
家の鍵のように大事なものを紛失することや、どこへやったか分からなくなるのを防ぐために、決まった場所に保管して、それ以外のところに置き去りにしない等の工夫をされている方はきっと多いと思います。
しかし、ADHDの方の場合、帰宅した時に鍵を開けた後、「早く荷物を下ろしたい」「横になりたい」「何か食べたい」…というように、次に予定している行動を抑制することが出来ません。その結果、鍵のことはぼんやりとした記憶しか残らないこともあって、次に必要になった時に、鍵を探し当てることが出来なくなり、紛失に繋がってしまうのです。
ADHDの方々の中には、外出の時に使うバックは1つに決めて、ワイヤーが伸縮するタイプのキーホルダーに鍵や貴重品をまとめておく工夫をされる方もいらっしゃられます。
インターネットで「キーホルダー」を検索すると、ワイヤーがリールやスパイラル状のものなど、伸縮するタイプの商品がいくつもヒットします。ADHDでない方も、お酒を飲み過ぎて酔った時や、疲れて帰宅された時には、「早く横になりたい」といった気持ちが先に立ち、後になって家の鍵を探して冷や汗をかいてしまう……そういった経験が珍しくないからこそ、こうした商品が便利グッズとして人気があるのではないでしょうか。
このようなことを鑑みると、ADHDの特性は強弱(濃淡)の差はあれども誰でも持っている、ということがお分かり頂けるのではないでしょうか。
このコラムを読まれまして、
ご自分の現在のご状況として気になる点がありました方や、
興味・関心を抱かれた方は、
どうぞ当院まで、お気軽にお問い合わせください。
当院では、
大人の発達障害(ADHD、自閉スペクトラム症含む)をはじめ、
うつ病、躁うつ病、不安障害、適応障害、摂食障害、
パニック障害、睡眠障害、自律神経失調症、月経前症候群、
統合失調症、強迫性障害など、
皆さまの抱えるこころのお悩みに対して、
心身両面からの治療とサポートを行っております。
今後とも、医療法人社団ペリカン六本木ペリカンこころクリニック(心療内科、精神科)を宜しくお願い致します。