こころのペリカン便り

Column

【心療内科 Q/A】「うつ病の治療中に妊娠しても大丈夫なのでしょうか?」

A.

医療法人社団ペリカン六本木ペリカンこころクリニック(心療内科、精神科)です。

 

 

妊娠・出産を望まれる全ての女性にとって、うつ病は大きな問題です。

 

そもそも、女性は男性に比べて約2倍、うつ病に罹り易く(参照:女性は男性よりも『うつ病』になるリスクが高いのですか?、妊娠・出産をされる周産期においては、女性ホルモンのバランスの変化、育児に対する不安などから、うつ病を招きやすいのです。

 

 

それまで健康であった方でも周産期のうつ病を発症される女性の方もいらっしゃるのですから、現在、うつ病の治療を受けている女性の方が妊娠をされれば、症状が悪化するリスクはあり得ます。

 

 

うつ病に罹られている女性の方が妊娠されると、上記のようにご本人の病状が悪化するリスクだけでなく、服薬によるお腹の赤ちゃんへの影響も懸念されます。

 

 

抗うつ薬や気分安定薬の多くは、妊婦の方に「禁忌」ではないものの、稀に心血管性奇形、遷延性肺高血圧症などの影響が胎児に生じることがあります。更に、発育不全、新生児痙攣、早産などを招くリスクも報告されています。ですので、妊娠中は薬物を減量、ないし中止することが考えられる場合もあります

 

 

その一方、うつ病そのものが、早産のリスクを高めるほか、母体の健康を悪化させたり、赤ちゃんの発育や育児を妨げたりする可能性が高いことにも注意が必要です。したがって、薬物療法(投薬治療)で、母体のうつ病の症状を安定させることを優先させるかどうかは、非常にデリケートな問題であり、ケースバイケースで慎重に考えていく必要があるのです

 

 

このように、うつ病の治療を受けている女性の妊娠・出産には一定のリスクが伴いますが、妊娠や出産がいけないという訳ではありません。うつ病がされた状態で、計画的に妊娠をされれば、薬物療法(投薬治療)を中止されても、環境調整などの基本的なケアで、母子ともに健康な状態で出産を迎えられることも少なくありません。

 

 

そのために、医療機関においては、母体(患者様)の精神状態の悪化、身体的な急変、赤ちゃんに生じる不測の事態に備え、精神科・心療内科の医師と、産婦人科の担当医・担当スタッフとの緊密な連携体制を構築することが非常に大切なことになってくるのです。

 

 

 

当院では、うつ病をはじめ、

月経前症候群(PMS)、月経前不快気分障害(PMDD)、

躁うつ病(双極性障害)、不安症、適応障害、

自律神経失調症、睡眠障害(不眠症)、心身症、

パニック症、摂食障害(過食症)、統合失調症、

更年期障害、強迫症、アルコール使用障害、

大人の発達障害(ADHD、自閉スペクトラム症)、

過敏性腸症候群(IBS)、ストレス関連障害など、

皆さまの抱えるこころのお悩みに対して、

心身両面からの治療とサポートを行っております。

 

 

今後とも、医療法人社団ペリカン六本木ペリカンこころクリニック(心療内科、精神科)を宜しくお願い致します。