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医療法人社団ペリカン六本木ペリカンこころクリニック(心療内科、精神科)です。
今回ご紹介する「SET-UP」というコミュニケーション手法は、「境界性パーソナリティ障害」を持つ方と実用的な対話を行う上で、その要点を理解するために開発されました。
この「SET-UP」は、境界性パーソナリティ障害の方と向き合うために開発されたのは前述の通りですが、それ以外においても、ストレスが大きい状況下に置かれている方々との対話においても有用であると言われています。
「SET」とは、「支援(Support)」、「共感(Empathy)」、「真実(Truth)」のそれぞれの頭文字をとって作られた用語であり、境界性パーソナリティ障害の方と対話する時に必要になることを端的に示しています。また「UP」は「理解(Understanding)」、「根気強さ(Perseverance)」であり、境界性パーソナリティ障害の方と、その相手(対話者)が一緒に達成しようとする目標だと言えます。
「SET」の部分は、対話のための技法・スキルであり、「UP」の部分は、「SET」を用いて進めている対話を補うものです。「姿勢」のようなものと思って下さい。
「SET」は形式化・体系化された治療法ではありません。長期的な行動変容のために設計された標準的な治療プログラムとは違い、「SET」は、日々の急性の場面において対立が激化することを防ぐために開発されました。それでも、「SET」を使う際の目標は、正式な治療プログラムの目標とも一致しているのです。
「SET」を日々用いることは……
◎ 認知行動療法のように、生産的でない行動に、境界性パーソナリティ障害の方が自ら気付ける状況を作り出して、行動を変容させやすくします。
◎ メンタライゼーションに基づく治療法のように、共感を重視して、信頼や対人関係の課題に向かっていきます。
◎ スキーマに焦点を当ては治療法のように、拒絶に対する過敏さや、見捨てられ不安に対応します。
◎ 恐怖症のための曝露療法(エクスポージャー)のように、本人にとって恐ろしいと感じる状況へ向き合っていきます。
◎ ここに挙げたものや、その他の治療アプローチのように、マインドフルネスやメンタライゼーションの技法と、ご本人にとっての辛い現実のジレンマに向き合う勇気とを、上手く結びつけられるようになる後押しをします。
このように「SET」は、ある意味では、あらゆる技法や治療アプローチの基盤ともなり得るものであり、かつ、日常生活においても(治療場面以外においても)使用可能なコミュニケーションツールなのです。
当院では、
うつ病、躁うつ病(双極性障害)、不安症、適応障害、
心身症、ストレス関連疾病、睡眠障害(不眠症)、
大人の発達障害(ADHD、自閉スペクトラム症)、
パニック障害、自律神経失調症、冷え症、摂食障害、
月経前症候群、更年期障害、統合失調症、強迫性障害、
過敏性腸症候群、境界性パーソナリティ障害など、
皆さまの抱えるこころのお悩みに対して、
心身両面からの治療とサポートを行っております。
また当院では、診察と一緒に、専門の心理士(臨床心理士・公認心理師)資格を持ったカウンセラーによるカウンセリング(心理療法)も行っております。カウンセリングご希望の患者様は、診察時に医師にご相談下さい。
今後とも、医療法人社団ペリカン六本木ペリカンこころクリニック(心療内科、精神科)を宜しくお願い致します。