A.
医療法人社団ペリカン六本木ペリカンこころクリニック(心療内科、精神科)です。
以前同コラムにて、「境界性パーソナリティ障害」の方の「発症時期と経過」について記載させて頂きました。今回は「境界性パーソナリティ障害」が「発症」することと、その「原因」は別であることについて、以下に書かせて頂きます。
境界性パーソナリティ障害が「発症」する時、通常、キッカケとなる出来事があります。それは一つであることもあれば、複数のことが重なったり、あるいは間をおいて起きていたりする場合もあります。いずれにしても、重要なのは、「発症」のキッカケと「原因」は別である、ということなのです。
実は、境界性パーソナリティ障害に至る「原因」は、既に長い時間を掛けて用意されているのです。一方、発症のキッカケは、偶々最後の一押しとなった出来事に過ぎません。ただ、キッカケとなる出来事は、その「原因」と無関係な事柄という訳ではないのです。最も多く見られるケースは、その方が過去に心を傷けられた体験や、認めてもらえなかった体験を彷彿・再現させるかのような状況に再度遭遇してしまわれた場合でしょう。
つまり、発症のキッカケとなる出来事は、その人にとられて、かつての心の傷や痛みを蘇らせる性質を持ったものである、ということです。その遭遇により、心理的な激しい動揺に見舞われるだけでなく、まるでこれまで積み上げてこられたものが全て崩れさるような体験として感じられるのです。
例えば、親密な関係を持てる相手が出来たこと自体が、その方の心の奥底にずっとあった「見捨てられ不安」を掻き立てるキッカケとなることもあれば、実際の別れが、その引き金を引くこともあります。また、若い女性の方に多いキッカケの一つとして、離別や中絶による心の傷が重なってしまった場合が挙げられます。喪失感と罪悪感が重なり、そこにその方自身の身捨てられ感と、自分が見捨ててしまった一つの命への想いがオーバーラップすることで、それはより救われ難く、取り返しのつかないこととして感じられてしまうのです。
幼い頃の喪失体験、見捨てられ体験の傷(=「原因」)が、最近起きた喪失体験、見捨てられ体験(=「キッカケ」)によって再現されて発症してしまう心の病が、「境界性パーソナリティ障害」なのです。
当院では、
うつ病、躁うつ病(双極性障害)、不安症、適応障害、
心身症、ストレス関連疾病、睡眠障害(不眠症)、
大人の発達障害(ADHD、自閉スペクトラム症)、
パニック障害、自律神経失調症、冷え症、摂食障害、
月経前症候群、更年期障害、統合失調症、強迫性障害、
過敏性腸症候群、境界性パーソナリティ障害など、
皆さまの抱えるこころのお悩みに対して、
心身両面からの治療とサポートを行っております。
また当院では、診察と一緒に、専門の心理士(臨床心理士・公認心理師)資格を持ったカウンセラーによるカウンセリング(心理療法)も行っております。カウンセリングをご希望される患者様は、診察時に医師にご相談下さい。
今後とも、医療法人社団ペリカン六本木ペリカンこころクリニック(心療内科、精神科)を宜しくお願い致します。