こころのペリカン便り

Column

【心療内科Q/A】「発達障害です、つい仕事に“完璧さ”を求めてしまうのですが…?」【大人の発達障害】

A.

医療法人社団ペリカン六本木ペリカンこころクリニック(心療内科、精神科)です。

 

発達障害や、そのグレーゾーンでお悩みの方の中には、

つい物事(与えられた課題・仕事)に対して、100点満点、場合によってはそれ以上の完成度を求めてしまうのです……

ということを口される方は少なくはありません。

 

完璧主義」と言い換えることも出来るこの傾向は、

ご自分の能力やパフォーマンスを持ち得る限り発揮させて、

物事や課題に一生懸命取り組もうとされているとも言え、

一見すると「むしろ良いことなのではないか?」と感じられるかもしれません。

 

勿論、この傾向は、決して悪いものではなく、

真面目で責任感が強く、優秀な方々に多くみられる傾向でもあります。

 

しかしその一方で、

 

「完璧なものにしなくては!」という気負いが、作業の取っ掛かりのハードルを上げてしまう(=作業の引き延ばし)

ほかに抱えている仕事やタスクを考えることが難しくなってしまう(=目の前の事への過集中)

自分の納得のいくまでとことん時間を掛けてしまい、締め切りに間に合わなくなってしまう

常に強い緊張感やストレス下に置かれてしまう

 

――といったことが時として起こってしまい、

そのことが、発達障害やグレーゾーンの方々の周囲への適応を困難なものにさせてしまうのです。

 

加えて、発達障害やグレーゾーンの方々の心身のコンディションにとって、

出来るだけ避けることが望ましい要因は「焦り」だと言われています。

完璧主義を強く持ち続けてしまうことは、結果として、

上記の①→②→③→④→①→…という悪循環のループを引き起こしてしまい、

常に余裕がなく、緊張下にあり、焦った気持ちを持ち続けてしまう危険性があるのです。

また、長期間完璧主義的なお仕事のされ方を続けていかれると、うつ病や不安症を発症されてしまうリスクも高まってしまいます。

 

 

それを回避するために、まず覚えておいて頂きたいことは、

完璧主義ではなく、『最善主義』を目指せるようになろう!です。

 

発達障害やそのグレーゾーンにある方々ご自身にとっては、

100%(あるいは、それ以上)を目指す「完璧主義」の方が理解し易く、かつ、好まれる傾向があります。

その一方で、周囲や職場の方々は「60%の出来で十分(なのでもう少し早く仕上げてほしい)」という価値基準を持たれています。

この60%の出来」が「最善主義だと言い換えても良いでしょう。

 

「自分は一生懸命時間を掛けて完璧な資料を作ったのに、周囲からは評価されなかった…」

という体験を繰り返しされていらっしゃられる方は、

ご自分と周囲との間に、このような認識の差(=認知のズレがなかったかどうか、一度振り返ってみられてはいかがでしょうか。

 

また、当院のような専門の医師との問診や、

心理師とのカウンセリングといった方法を通して、

ご自分の認知のパターン(認知の癖)に気づき

それをより適応的な認知へ変容させていくことも可能です。

 

今後とも、医療法人社団ペリカン六本木ペリカンこころクリニック(心療内科、精神科)を宜しくお願いいたします。