A.
医療法人社団ペリカン六本木ペリカンこころクリニック(心療内科、精神科)です。
前回「慢性疲労症候群を中医学(漢方)の観点から考えると?Ⅰ」というタイトルで書かせて頂きましたが、今回はその続きとなります。前回のコラム内で、慢性疲労症候群は、自律神経失調症に含まれる概念であり、自律神経失調症と同様、漢方薬での治療が奏功するケースが多いことを記載させて頂きました。
加えて、中医学(漢方)の観点では、慢性疲労症候群の原因として、主に「気虚タイプ」「血虚タイプ」「腎虚タイプ」の3パターンがあることもご紹介させて頂きました。今回はその3タイプ別の特徴や養生法について書いて参ります。
◆「気虚(ききょ)タイプ」◆
★特徴★:「気」は文字通り「元気」の「気」です。働き過ぎたり、頑張り過ぎたり、気を遣い過ぎたりすることで消耗してしまいます。このタイプの方は、風邪を引きやすい、声が小さい、喋ると疲れてしまう…等の症状が出易くなります。「気」を作る胃腸(「脾」)の状態が良くない場合だと、食べたものがしっかりと吸収されず、「気」だけでなく「血」の不足にも繋がってしまいます。
★養生法★:胃腸の負担になる冷たい物は避け、消化の良いものを食べるように心掛けましょう。お勧めの食材は、お米(うるち米)、じゃがいも、さつまいも、かぼちゃ、卵などです。
★処方され得る漢方薬★:「補中益気湯(ほちゅうえっきとう)」「清暑益気湯(せいしょえっきとう)」など
◆「血虚(けっきょ)タイプ」◆
★特徴★:月経期間や月経後、産後、病後などは「血(けつ)」を消耗しますので、この時期の疲れは「血(けつ)の不足」との関わりが深くなります。このタイプの方は、肉体的疲労感以外にも、眼精疲労やドライアイ、髪がパサつく、不眠、不安等の症状が出易い傾向があります。
★養生法★:目を使うとより「血(けつ)」の消耗が進むので、スマートフォンやテレビを見ない時間を意識的に作りましょう。食材では、肉類、ベリー類、小松菜、ほうれん草などがお勧めです。
★処方され得る漢方薬★:「十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)」「人参養栄湯(にんじんようえいとう)」など
◆「腎虚(じんきょ)タイプ」◆
★特徴★:生命活動の源である「精(せい)」が、先天的な要因や、慢性疾患、あるいは加齢などの影響によって不足すると、疲労や倦怠感が出ます。このタイプは、足腰のだるさ、耳鳴り、物忘れ、頻尿などの症状が出易い傾向があります。
★養生法★:食材のお勧めは、黒豆、黒ゴマなどの黒いもの、クルミ、松の実が良いでしょう。加えて、冷えも気になる方は、身体を温める力の強いエビや羊肉、ニラもお勧めです。冷えると、身体を温めるためにいつも以上にエネルギーを使いますので、普段から身体を冷やさないようにされて下さい。
★処方され得る漢方薬★:「六味地黄丸(ろくみじおうがん)」「八味地黄丸(はちみじおうがん)」など
このコラムを読まれて、ご自分の現在のご状況として、
気になる点がありました方や、興味・関心を抱かれた方は、
どうぞ当院まで、お気軽にお問い合わせください。
当院では、
月経前症候群(PMS)、月経前不快気分障害(PMDD)、
心身症、更年期障害、冷え性、ストレス関連障害、
うつ病、躁うつ病(双極性障害)、不安症、適応障害、
摂食障害(過食症)、パニック症、睡眠障害(不眠症)、
大人の発達障害(ADHD、自閉スペクトラム症)、
統合失調症、過敏性腸症候群(IBS)、強迫症など、
皆さまの抱えるこころのお悩みに対して、
心身両面からの治療とサポートを行っております。
なお、漢方薬による治療をご希望の患者様は、診察時に医師の方にぜひご相談下さい。当院のような心療内科では、健康保険適用で処方することも可能です。
今後とも、医療法人社団ペリカン六本木ペリカンこころクリニック(心療内科、精神科)を宜しくお願い致します。