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医療法人社団ペリカン六本木ペリカンこころクリニック(心療内科、精神科)です。
「適応障害」を考える際、よく挙がってくるキーワードが「問題同僚(苦手な同僚)」です。
本来であれば、「同僚」は過酷なビジネスな現場をともに戦う仲間です。お互いが補い合い、助け合っていく存在です。しかし、現実には、中々そう上手くはいきません。やっかみ、妬み、無関心、嫌悪…等々、様々なネガティブな感情がそこには渦巻いています。
同僚との軋轢の形は千差万別ですが、よくあるパターンとしまして、「優位に立とうとする」と「分かってくれない」があります。
「優位に立とうとする」は、同僚の側の心理です。
相手を下位の存在としてターゲット化し、貶める行為や言動を次々とぶつけてきます。スキル不足やミスを細かくあげつらったり、些細なことで攻撃したり、上司や他の同僚に悪口を吹聴する…等といった行為です。何故このようなことを行うのかと言うと、相手を貶めることで、自分を優位、かつ安全な立場に置こうとする思惑があるからです。
「分かってくれない」は、患者様側の心理です。
例えば、一生懸命やっているのに認めてくれない、慣れない業務なのに誰も教えてくれない、体調の悪さを訴えても相手にされない…等といった事柄が不満として語られます。
これは、一見すると周囲の無関心に問題があるように見えますが、実は周囲に期待し過ぎてしまう患者様の心情にこそ課題があるとも言えます。何故、「分かってくれない」と訴えられる患者様側に課題があるのかと言いますと、「職場の人間関係は表層的である」という事実に気が付かれていないからです。
職場の人間関係は、表層的です。人間関係の親密度、親和度は、恋愛関係を除くと、年齢、交流期間、交流属性に依拠しています。例えば、小学生などの低年齢で、交流期間が長いほど「親友」になる確率は高く、学生時代に同じ部活(共通の交流属性)で苦楽を共にすると、一生の友人になります。そういう意味では、損得勘定なしに本音で関わり合うので、心からお互いを信頼することが出来ます。
一方、職場の人間関係には、時間を掛けて醸成された信頼は存在しません。“仕事”という共通項で一緒にいるだけです。それぞれの大切な人は、職場以外のところにいます。それでも、終身雇用が当たり前だった団塊世代あたりでは、仕事を通じて家族のような信頼関係を構築することが出来たでしょう。しかし、転職やM&Aが当たり前となった昨今においては、そのような関係性は極めて稀です。
このように、関係が表層的であるため、残念なことに、職場の誰もが、自分のことが第一であり、周囲の方に対して関心が希薄なのです。
身も蓋もない話に聞こえてしまうかもしれませんが、試しに自分ご自身を振り返ってみられて下さい。家族や恋人、親友と同じくらいに、周囲の同僚を大事に思えるでしょうか?隣に座っている同僚のために、どこに居てでもすぐに駆けつけることが出来るでしょうか。
自問自答された答えは「出来ない」だと思います。家族や恋人ほど大切な存在ではないのです。
ただ、そこまで分かっていても、仕事だけの繋がりとしてドライに割り切ることが難しいところが、日本人の心性として指摘されています。自分のために周囲が何かをしてくれるのではないかと、つい期待をしてしまいます。そして、その期待は多くの場合裏切られることになるので、ストレスを抱え込むことになるのです。まずは、そういった一種の“悪循環”がご自身の身に起きていないか、確認されてみられることをお勧めします。
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