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医療法人社団ペリカン六本木ペリカンこころクリニック(心療内科、精神科)です。
以前同コラムにて記載させて頂きました「『適応障害』で休職を勧められましが、正直迷っています…」の“補足”として書かせて頂きます。
適応障害の患者様を前にして、医師が最初に行うことは、「ストレス状況の軽減、または回避」であり、その重要性を患者様に理解して頂くことです。
しかし、患者様の中には、例えどんなに辛いご状況にあったとしても、強い責任感から、ストレスの回避をよしとされない方がいらっしゃられます。
よくある例としましては、「自分にしか出来ない仕事なので…」「私が責任者だから…」「周りの皆に迷惑が掛かってしまう」「仕事が多くて自分がいなくなると業務が廻らなくなってしまう」…等といった訴えが挙げられます。経済的なご理由よりも、心情や思い込みに根差された訴えが多い傾向があります。このタイプの方には、その考え方そのものが、悪化要因になっていることに気付いて頂くことが大切になってきます。
「自分にしか出来ない仕事」「私が責任者」というのは事実であり、心情でも思い込みでもないと思われるかもしれませんが、これらの訴えは、多分に漏れず“思い込み”です。その理由は、実際に軽減勤務や自宅安静に入られた場合、結果的に別の方が引き継がれている例が、ほぼ百パーセントだからです。患者様のご担当されていた業務が、完全にストップしてしまった、という例は耳にしたことはありません。
そもそも組織は、継続的に機能していかなければならないので、誰かが欠けたら必然的に補充をするものです。「君しかいないんだよ」と上司の方が言われたとされても、いなくなったらいなくなったで、結局何とかされるのです。勿論、ごく小さな組織であれば、そう簡単にはいかないこともあるでしょう。けれども、まずはそのように考えられて、一旦気持ちをリセットされる方が回復は早いのです。
ストレス回避の具体的な方法は、人間関係の調整、軽減勤務、異動、自宅安静(休職)等です。その実現のために、医師は診断書や診療情報提供書を発行し、職場の人事労務スタッフ、産業医や産業保健スタッフの方々と連携します。職場内の人間関係が絡む問題に対しては、上司や担当部署が介入できるよう、産業医や保険スタッフと連携を取り調整します。長時間勤務など、仕事の量や質の問題に対しては、軽減勤務や異動を模索します。こちらも産業医や産業保険スタッフとの連携になります。
他にも、現職に興味がない、家庭の問題があり疲労困憊されている…等、適応障害の原因・理由は様々です。どういった手段がその方にとって最適であるかは、あくまでも「個別性」を重視しながら考えていかなければなりません。
「職場のことだから、医師には何もできないだろう」と思われてしまわれるかもしれませんが、そのようなことはなく、状況を動かしたり好転させたりすることは可能ですので、遠慮なく相談して下さい。
このコラムを読まれまして、ご自分の現在のご状況として、
気になる点がありました方や、興味・関心を抱かれた方は、
どうぞ当院まで、お気軽にお問い合わせください。
当院では、適応障害をはじめ、
うつ病、躁うつ病(双極性障害)、自律神経失調症、
睡眠障害(不眠症)、ストレス関連障害、統合失調症、
パニック症、強迫症、不安症、摂食障害(過食症)、
大人の発達障害(ADHD、自閉スペクトラム症含む)、
月経前症候群(PMS)、過敏性腸症候群、心身症など、
皆さまの抱えるこころのお悩みに対して、
心身両面からの治療とサポートを行っております。
また当院では、診察と一緒に、専門の心理士(臨床心理士・公認心理師)資格を持ったカウンセラーによるカウンセリング(心理療法)も行っております。カウンセリングをご希望される患者様は、診察時に医師にご相談下さい。
今後とも、医療法人社団ペリカン六本木ペリカンこころクリニック(心療内科、精神科)を宜しくお願い致します。