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医療法人社団ペリカン六本木ペリカンこころクリニック(心療内科、精神科)です。
「境界性パーソナリティ障害」の方に接する際に、常に心に置いておく大切なことは、「変わらないことが何よりの支えになる」ということです。
境界性パーソナリティ障害の方は、ご自身の気分においても、周囲への接し方においても、目まぐるしく変化します。ご本人が気分の良い時には、周り方々のことの素晴らしい存在のように感じますが、思い通りにならないことが生じた途端に、気分は一転して最悪な状態となり、怒りや批難を露わにされることも充分に起こり得る事態です。
大切なのは、上記のように、良い時であっても、悪い時であっても、出来るだけ一定の安定した態度で接することなのです。一緒に一喜一憂し過ぎたり、同情したり、盛り上がり過ぎたりされると、たちまちご自分まで気分の渦に飲み込まれてしまいます。むしろ、ある程度冷静な視点で言葉を掛けてみられたり、良い時も悪い時も、あっさりと接するようにされたりといった方が、却って長く支えることができ、それが最終的には本当の支援に繋がるのです。
残念ながら、よくある「最悪のパターン」は、最初の内は、ご本人の話を長時間掛けて熱心に聞き、「困ったことがあれば自分が助けになる」というようなことを言い、一気に双方とも心理的な距離が縮まるのですが、ご本人が時として、依存的になってしまったり、どんどん助けを求めてくるようになったりすると、相手はすっかり疲れてしまい、無責任にも途中で投げ出してしまったり、急に突き放してしまったりする…というケースです。実際、こういったパターンは、非常に頻繁に起こります。
そして、そのような時に一番傷つくのは、境界性パーソナリティ障害を持つご本人に他なりません。さらには、「人は結局、最後には自分を見捨てるのだ」という不幸な人間観を一層強めてしまうことになります。それは、この障害を克服されるのとは、真逆のベクトルなのです。
境界性パーソナリティ障害の方の場合、長く変わらない気持ちで接し続けてくれる人がいたということを、身をもって体験されることが、何よりの援助となるのです。実際、境界性パーソナリティ障害が良くなったケースには、その方の身近に、変わることなく、長期に渡って接し続けてくれた方の存在があるのです。
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