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医療法人社団ペリカン六本木ペリカンこころクリニック(心療内科、精神科)です。
うつ病(に代表される心の病)回復期の人を迎え入れることを、職場の側の方々はどのように捉えられているのでしょうか。復職される前の「心構え」として、このことも一度は意識しておきたいところです。
まず、忘れてはならないことは、「会社は病院やリハビリ施設ではない」ということです。原則として、職場復帰するには、会社で働けるような状態になることが必要です。うつ病をも含め、健康管理は第一義的には本人や家族の問題であって、セルフケアが第一にあるということです。
会社が求めることは、簡潔に言ってしまえば、最低限、他の従業員同様に、1日8時間会社にいて(拘束されていて)、かつその間にきちんと与えられた仕事が出来ることです(最近はリモートワーク等も活用されていますが)。最終的にはそういう勤務に耐えられるか否かが、雇用の継続の尺度となる訳で、従業員に継続的に雇用される能力(=「エンプロイアビリティ」)があるか否かが、ポイントになります。
会社によっては、以前同コラムでもご紹介させて頂きましたように、「リハビリ出勤(試し出勤)」という制度を設けているところもあり、徐々に職場復帰をしていくという一定の効果が期待されます。しかし、リハビリ出勤は、事故が発生した場合の補償のあり方が不明確である等、その法律上の位置づけが曖昧ということもあって、会社側の義務ではありません。その点は誤解も多いようなので注意が必要ででしょう。
会社としては、過去からの経験や知識を有する従業員というものは、非常に大切なリソースであり財産です。このため、職場側としても、職場復帰をして就業してもらうに越したことはありません。しかし、「会社に迷惑は掛けられない」ということで中途半端な回復の状態で職場復帰をし、出社と欠勤を繰り返されてしまっては、顧客相手の大事な仕事を任すことも出来ないだけでなく、結果的に、復帰した職場の他の従業員にも負担を課すことになってしまいます。
身体的な怪我のような場合には、他の従業員にも外見から回復過程が分かりますが、精神的な病気の場合には、本人の内面の精神的葛藤状態がどうであるかは、周囲からは中々分かりません。このため、同僚たちが、うつ病に関する情報を職場の上司等から受けていたとしても、長期間に渡って中途半端な状態で仕事をされると、却って、職場で働く周囲の人々の反発を招くことにもなりかねません。「急いては事を仕損じる」なのです。
また、職場復帰の際に、元の職場(部署等)に復帰することには問題があるという場合には、復帰前に事前に相談をする方が良いでしょう。例えば、元の職場での人間関係が心の病気の原因であったとか、仕事量が多すぎて従来と同様のレベルの仕事をこなすことは不可能だと、自分で判断できる場合には、事前に申し出ることが必要です。
何故なら、“心の病気になる前と同様の状況にならないこと”が、心の病気の再発予防の最大の方法であるからです。勿論、職場人員配置等の問題もありますが、優秀な人材の有効活用の面から、会社としては、出来るだけの配慮をすることが肝要だと考えています。但し、職場の仕組みによっては、「原則、休職前の部署に戻れることが復帰要件」となっている所もありますので、勤務先の職場の仕組みをきちんと押さえた上で、そこから逸脱しない形で、上役や調整役の方々と、お互いにとって、一番良い形での復帰の形を整えていかれることが肝要かと思われます。
当院では、
うつ病、躁うつ病、適応障害、自律神経失調症、
パニック障害、不安障害、社交不安障害、恐怖症、
大人の発達障害(ADHD、自閉スペクトラム症)、
摂食障害、睡眠障害(不眠症)、心身症
月経前症候群、統合失調症、強迫性障害、
過敏性腸症候群、アルコール使用障害、ゲーム障害など、
皆さまの抱えるこころのお悩みに対して、
心身両面からの治療とサポートを行っております。
今後とも、医療法人社団ペリカン六本木ペリカンこころクリニック(心療内科、精神科)を宜しくお願い致します。