こころのペリカン便り

Column

【心療内科Q/A】「復職前の『不安』を上手に乗り越えるためには? 」

A.

医療法人社団ペリカン六本木ペリカンこころクリニック(心療内科、精神科)です。

 

 

例えば「うつ状態」については、医師の診断書により、いわゆる症状として回復したことは分かります。しかし、ここで中々表面化しにくいのが不安です。職場復帰日が迫ってくると、急に大きく不安や不眠が出ることがよくありますそして、そういた部分についても、医師や心理師、あるいは職場と協働して、ケアしていく必要があると言えるでしょう。

 

 

ここでは、職場復帰前に誰もが起こり得る、幾つかの典型的な事例ご紹介します。

 

 

 

Ⅰ.「浦島太郎の壁ショック(リアリティ・ショック)」

長期に休んでいた人が職場に復帰すると、簡単な仕事が出来ない等の現実に直面します。この「リアリティ・ショック」に直面して、再び「うつ状態」になることがあります。まして、変化の激しい現代では、数か月前の職場と復帰後では、時に打って変わってしまうこともあります。変化した職場で、本人が「課せられた仕事を達成できない」と思う場合もあります。例えば、電話でも、ソーシャルスキルが不足していて出来ないことがあるのです。そういった時には、上司やサポート役の方が相手となって、ロールプレイで電話訓練をしてみる、新聞を読んでレポートをまとめる、そのレポートを発表してみるといったプレゼンの練習をして、この壁を乗り越えることです。

 

 

Ⅱ.「予期不安のカベ

「どうせ私は復帰しても、また前のようにダメになってしまうだろう」等と予感している場合、まさに失敗するような行動をとってしまうことがあります。このような時、本音で話せる経験豊かな専門家がいれば、その人に任せるのが理想です。他にも、家族に悩みを話す、あるいは、仲間同士の支え合いがあればなお良いでしょう。

 

 

Ⅲ.「働きがいのカベ

心理的な焦りが邪魔をします。「早く会社に帰りたいのです。職場で働かなくてはならないのです」等、完璧に復帰をしなければ自分の人生がダメになってしまうという思い込みによる焦燥感から、「早く復帰したい」と治療者や会社の担当者に懇願している場合があります。具体的には、「自分だけ何故」「迷惑を掛けている自分が許せない」「○○さんのせいでこんなに苦しいことになった」という心配です。

治ったという思い込みをして復帰をしてしまう場合もあります。職場に復帰しても達成感ややりがいを感じられずに、再度休職に至る例もあります。

 

 

Ⅳ.「じっと耐えるカベ

発症した職場で働いても大きな負荷となった原因に十分に耐えていけるか、もしくは、問題を上手くこなしていけるスキルが向上しているか、同じストレスに耐えてやっていけるか、といったことについての見通しがあると良いでしょう。復帰当初は、周囲の皆が忙しくしている中で、自分だけがじっと我慢してやっていけるだろうかと考えイライラします。ここでじっと我慢出来るかどうかが重要です。

 

 

Ⅴ.「話し合い不足のカベ

「親の介護をしなければならない。治って会社に復帰すると、親は診る人がいなくなってしまう」「保育園の送迎をしなければならない」「妻が妊娠中で具合が悪い」というような家族内での葛藤がある場合、または、家庭の事情が復帰の妨げとなっている場合には、「治ってはいけない」という無意識的な思い込みのような心理的問題の解決が重要です。逆に、家族に早く出社してくれといったプレッシャーを受けている場合や、家に居場所がなく、主治医の先生に無理に復帰を依頼している場合、さらには、病気は回復しているのに、職場の人間関係や仕事内容にストレスを感じて復帰に今一つ乗り気になっていない場合もあります。そのような場合は、薬物療法と休養に加え心理療法的なアプローチが有効になってくるでしょう。

 

 

Ⅵ.「通勤のカベ

多くのケースで、通勤がストレスになる場合があります。この場合は、薬や心理療法は余り関係がありません。まずは、復帰前に実際に通勤の練習をしてみることで、身体的・精神的負担に徐々に慣らしていくことが有効でしょう。また、それでも通勤への負担が厳しい場合には、個人的な経済負担は多少掛かりますが、都心への通勤に慣れるまで会社近くのカプセルホテルから通勤して成功をした事例等もあります。

 

 

 

当院では、

うつ病、躁うつ病、適応障害、自律神経失調症、

パニック障害、不安障害、社交不安障害、恐怖症、

大人の発達障害(ADHD、自閉スペクトラム症)、

摂食障害、睡眠障害(不眠症)、心身症

月経前症候群、統合失調症、強迫性障害、

過敏性腸症候群、アルコール使用障害、ゲーム障害など、

皆さまの抱えるこころのお悩みに対して、

心身両面からの治療とサポートを行っております。

 

 

今後とも、医療法人社団ペリカン六本木ペリカンこころクリニック(心療内科、精神科)を宜しくお願い致します。