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医療法人社団ペリカン六本木ペリカンこころクリニック(心療内科、精神科)です。
うつ病などの心の病によって長期休業した場合、病状が落ち着いた後も、職場復帰に向けての不安から勤務への自信が持てないことや、復帰後の急激な環境変化から病状が再び不安定になってしまうことも少なくありません。
このような点から、職場復帰を円滑に進めるために、いわゆる『リハビリ勤務(慣らし勤務・お試し出勤・復職プログラム等、様々な名称で呼ばれることがあります)』を職場から勧められることがあります。このリハビリ勤務は、職場で定められた一定のプログラムに従い、段階的に出勤日数や勤務時間を延ばすことで、徐々に職場に慣れ、身体的体力・精神力を回復するために有効な手段です。
しかし、このリハビリ勤務は、時には非常に曖昧な条件のもとで行われ、職場復帰をする者にとって不利益な条件で行われていることも少なくはありません。よって、リハビリ勤務を勧められた場合には、実施方法や、その際の待遇・災害補償等について、職場と十分に協議をしてから行うようにしましょう。
具体的には、「(1)休職中の身分のまま、リハビリ勤務を行なう場合」と、「(2)正規の職場復帰後に、リハビリ勤務を行なう場合」があり、それぞれの気を付ける点をこれから説明しようと思います。
(1)「休職中の身分のまま、リハビリ勤務を行なう場合」
この場合に気を付けることは、①賃金・交通費の支払い、②労働災害保険の適用、③勤務内容に対する責任の所在についてです。基本的には、休業中の身分ですので、原則として職務に対する責任を負う必要はなく、あまりプレッシャーの掛からない状態でリハビリ勤務を受けることが出来る点で、職場復帰をする者にとってプラスになる部分もあります。しかし、待遇的な面では、あくまで休業中の身分ですから、健康保険組合から支給される傷病手当金以外の賃金や交通費は支給されず、また、労働災害保険の適用が受けられないことになります。つまり、リハビリ出勤中に駅の階段で滑って転んで怪我をしても、通勤災害の適用にはなりませんし、リハビリ勤務中に頭上から物が落ちてきて怪我をしても、労働災害保険給付を受けることが出来ないので、非常に不安定な身分となります。
しかしながら、そのような認識が不十分な職場では、「休業中の身分で、通常の仕事を3ヶ月間行なうことが出来たら職場復帰を認める」等といったような、職場復帰をする方にとって一方的に不利益を強いられる場合があります。ですので、そのような場合には、先述の①~③の責任の所在について曖昧にすることなく、例えば「休業中なのだから、職務に対する責任の所在は免除されるはずである」等と主張するのも良いでしょう。また、逆に「通常の仕事を求められるのであれば、同等の待遇を受けるべきである」という大原則に基づき、先述の点を念頭に置きながら、きちんと職場とリハビリ勤務の際の条件について協議をするように心掛けましょう。
因みに、①~③の問題点を解消するために、リハビリ勤務中でも交通費を支給したり、労働災害保険の代わりに民間の保険への加入を行なったり、という工夫を凝らしている職場もありますので、ご自身の職場のリハビリ勤務制度について確認をしてみると良いでしょう。
(2)「正規の職場復帰後に、リハビリ勤務を行なう場合」
正規の職場復帰がなされていれば、交通費や労働災害保険の適用等の面では、特に問題が生じることは少ないでしょう。しかし、給与に関しては、実際の労働時間分しか給与が支給されない場合(例えば、半日勤務であれば給与も半分)が多く、休業中は1時間も仕事に出なくとも「傷病手当金」として給与月額の3分の2が支給されていたものが、リハビリ勤務を開始すると却って受け取れる額が減ってしまうという状況が起こることも少なくはありません。ですから、このような場合、長期間に渡るリハビリ勤務は、職場復帰をする方にとって過重な金銭的負担を強いられることになりますので、リハビリ勤務の期間をどの位に設定するかについては、十分な検討が必要となってくるでしょう。
当院では、
うつ病、躁うつ病、適応障害、自律神経失調症、
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心身両面からの治療とサポートを行っております。
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