こころのペリカン便り

Column

【心療内科Q/A】「大人の発達障害です、人の顔や名前が覚えられない事は起こりますか?」【大人の発達障害】

A.

医療法人社団ペリカン六本木ペリカンこころクリニック(心療内科、精神科)です。

 

診断基準にこそ含まれてはいませんが、大人の発達障害、

特に自閉スペクトラム症(以下、ASD)の方には、

「人の顔や名前が覚えられない」「相手の顔と名前が一致しない」

といったお悩みを持たれている方が実は少なくはありません。

 

 

定型発達をされた方の場合、既に乳児期の段階で、

「人の顔」というものに対して、

他のものよりも明らかに興味が向いていることが、

乳児の視線(視点)を調べることで既に判明しています。

それくらい、私たちは一般に、人に対する関心というものが、

物に対する関心よりも遥かに高く、

認知や記憶に関しても、人に関係する事柄の方が、

より鮮明に、かつ優先して残りやすいと言われています。

つまり、物の名称を覚えたり見分けたりするよりも、

人の名前や顔を覚えたりする方が得意な傾向があると言えるでしょう。

 

 

ところが、ASDの方は、その傾向が逆転しやすいのです。

人の顔や名前が中々覚えられない反面、

ご自身の関心のある物については難解な名前でも記憶され、

細かい違いにも気が付かれたり、見分けられたりされます。

時として、このことがご自身の専門性を磨かれたり、

他の方には真似の出来ない「能力」として認められることもあります。

 

 

人の顔を中々覚えられなかったり、顔と名前が一度では一致しなかったり……。

……こういったことはASDの方に限らず、多くの方が大なり小なり感じられて、

それぞれに対策や工夫をされてきていらっしゃられるのではないでしょうか。

しかし、ASDの方は、時として、ご自身の配偶者や子どもの顔さえ、

見分けられないことが起こり得ます。

例えば、卒業写真等の集合写真の中から、

自分の子どもや配偶者の顔を中々見つけられないこともある訳です。

 

 

このようにASDの特性がゆえに、人の顔や名前が中々覚えられず、

それによって、何かのコミュニティ(職場や学校など)に属した際に、

周囲から“浮いてしまう”ことも起こり得ます。

そのことでASDの方ご自身が何かしらの“傷つき体験”を受けられてしまうと

適応障害やうつ病といった二次障害にも繋がりかねません。

 

 

そうなる前に、まずはご自身の特性に気が付くこと。

そして、そのことによって、ご自分自身に“やりづらさ”が出ていないか、

具体的に振り返って見られることが肝要だと言えるでしょう。

 

 

 

このコラムを読まれて、

ご自分の現在のご状況として気になる点がありました方や、

興味・関心を抱かれた方は、

どうぞ当院まで、お気軽にお問い合わせください。

 

 

当院では、

大人の発達障害(自閉スペクトラム症、ADHD含むをはじめ、

うつ病、躁うつ病、不安障害、適応障害、摂食障害、パニック障害、

睡眠障害、自律神経失調症、月経前症候群、統合失調症、強迫性障害など、

皆さまの抱えるこころのお悩みに対して

心身両面からの治療とサポートを行っております。

 

 

今後とも、医療法人社団ペリカン六本木ペリカンこころクリニック(心療内科、精神科)を宜しくお願い致します。