A.
医療法人社団ペリカン六本木ペリカンこころクリニック(心療内科、精神科)です。
ネットやオンラインゲームには、多くの人を惹きつけ、熱中させ、飽きさせない、様々な要素が備わっています。達成や上達の喜びだけでなく、周囲からの賞賛や所属の欲求を満たし、コミュニケーションを楽しむことが出来るというソーシャルな要素が、従来のゲームからさらに「進化」した最大の特徴だとも言えるでしょう。
心理学者のアブラハム・マズローは、人間の根源的な欲求を5つに分けました(「欲求五段階説」)。それが、以下の5つです。
☆「生理的欲求」
☆「安全の欲求」
☆「愛と所属の欲求」
☆「承認欲求」
☆「自己実現の欲求」
「愛と所属の欲求」は、他者から受け入れられたいと望む欲求です。「承認欲求」とは、集団から自分の価値を認められることを求める欲求です。さらに自分の可能性を生かし、役立てる時、「自己実現の欲求」を満たすことが出来ます。
オンラインの世界は、スリルや興奮に満ちています。しかし、ただそれだけでは、生活が破綻し人生を棒に振るまでのめり込む理由を説明することは困難です。実際には、人間の持つこの根源的な欲求が、オンラインの世界において、代償的ではあるものの、ある程度満たされてしまうことが、人を惹きつけてやまない大きな理由でもあるのです。
オンラインの世界からユーザーやプレイヤーが得ている満足感は、次のように言い換えることも可能です。
★ 非日常的な興奮や昂揚感を味わい、現実の嫌なことから逃避する(=「生理的欲求」「安全の欲求」)
★ 仲間やメンバ―たちと気軽な会話を楽しみ、繋がりを感じ、彼らから認められる(=「所属の欲求」「承認欲求」)
★ 技術やレベルを上げたり、戦果を挙げたりすることで、達成感や自己効力感を味わう(=「自己実現の欲求」)
「上手く適応できない現実からの逃避」という側面があることが自ずと見えてきます。ネットやゲームに耽溺し依存する人たちは、その行為が心底楽しいだけではないのです。現実の世界において、自分の安全が脅かされていると感じているために、ネットやゲームの世界に避難場所を求めているのです。それ自体を批難することは誰にもできません。
問題なのは、そうして得られる基本的欲求の満足が、どれ一つとして本来の満足ではなく、幻の満足だと言うことです。オンラインの世界で得られる安全感も、社会的な満足も、自己実現も、現実世界の満足とは繋がっていないのです。
この「オンラインの世界の自分」と「現実世界の自分」との乖離やギャップに耐えられなくなり、また一層オンラインの世界に耽溺してしまう、という出口の見えないループを繰り返してしまうのが、ネット・ゲーム依存の方たちなのです。
このコラムを読まれまして、
ご自分の現在のご状況として気になる点がありました方や、
興味・関心を抱かれた方は、
どうぞ当院まで、お気軽にお問い合わせください。
当院では、ゲーム障害、ネット依存、スマホ依存をはじめ、
大人の発達障害(ADHD、自閉スペクトラム症含む)、
うつ病、躁うつ病、不安障害、適応障害、摂食障害、
パニック障害、睡眠障害、自律神経失調症、心身症、
月経前症候群、統合失調症、強迫性障害、
過敏性腸症候群、社交不安障害、アルコール使用障害など、
皆さまの抱えるこころのお悩みに対して、
心身両面からの治療とサポートを行っております。
今後とも、医療法人社団ペリカン六本木ペリカンこころクリニック(心療内科、精神科)を宜しくお願い致します。