A.
医療法人社団ペリカン六本木ペリカンこころクリニック(心療内科、精神科)です。
以前同コラムにて、ADHDとゲーム障害の関連性について、
簡単に記載させて頂きました。そしてその際、
ADHDの方は、報酬系・抑制系・時間感覚等に関する脳の特性上、
ゲーム障害へのリスク要因が存在しているため、
自分自身で(場合によっては、家族も含めて)、
何かしらの「制限」や「決まり」等をしっかりと意識して設定され、
上手に使っていくことが必要になってくることを、
お伝えさせて頂きました。
「ゲームで遊んでいる」つもりが、いつの間にか、
「ゲームに遊ばれている(翻弄されてしまっている)」状態にならないように、
気を付けられる必要があるというお話でした。
実は、こういった脳の特性からくるリスク要因とはまた別の課題が存在します。
それは、ADHDの特性によって、
職場や学校といった社会生活に支障が出てしまったり、
ストレスが高くなってしまったりされた際に、
ご自分の「安全基地」として
「ゲーム(特にネットゲーム)」というコミュニティを利用され、
そこから抜け出せなくなってしまうというケースです。
これは、ADHDの特性をお持ちの方のみに限りません。
外の世界に参加することへの辛さへの「避難場所」として、
ゲーム(あるいは、ゲームコミュニティ)を使っていたはずが、
そこが何よりも心地良い「安住の地」になってしまったという、
一種の二律背反(アンビバレンツな葛藤)状態が生じてしまっているのです。
このように脳の報酬系が活性化するので依存してしまうケースではない、
「他にやることがないから」
「ゲームをやると嫌な感覚を忘れられるから」
「ゲーム内には沢山友だちがいるから」
……といった、報酬系・抑制系だけでは説明が出来ない理由においても、
ADHDの方々にゲームへの依存が形成されてしまうということが、
現実として起こり得るのだ、ということも併せて覚えておいて頂けましたら幸いです。
ゲーム依存は、アルコール依存症の治療とは異なり、
「ゲームをする時間をゼロにする、断ネットする(≒断酒する)」のではなく、
「ゲームやネットに対するコントロールする力を取り戻す」ことが、
最終的なゴールとなります。
今の時代、ネットを完全に断つのは、日常生活・社会生活を営む上では、
もはやかなり難しいと言わざるを得ないでしょう。
そういった日常生活・社会生活に身を置いていながらも、
ゲームやネットに対して、「ほどほどに付き合えるようになること」が
大切になってくるのだと思います。
これはオマケですが、ゲームにハマってしまい、しかし最終的には、
社会生活に復帰された方々がよく口にされる言葉として、
「自分はゲームに命を救われましたが、うっかり足元をすくわれました」
というものがありますが、
これは、非常に的確かつ秀逸な表現であるとも感じます。
このコラムを読まれて、
ご自分の現在のご状況として気になる点がありました方や、
興味・関心を抱かれた方は、
どうぞ当院まで、お気軽にお問い合わせください。
当院では、
大人の発達障害(ADHD、自閉スペクトラム症含む)をはじめ、
うつ病、躁うつ病、不安障害、適応障害、摂食障害、パニック障害、
睡眠障害、自律神経失調症、月経前症候群、統合失調症、強迫性障害など、
皆さまの抱えるこころのお悩みに対して、
心身両面からの治療とサポートを行っております。
今後とも、医療法人社団ペリカン六本木ペリカンこころクリニック(心療内科、精神科)を宜しくお願い致します。