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医療法人社団ペリカン六本木ペリカンこころクリニック(心療内科、精神科)です。
前回のコラムで「アンガーマネジメント」についてご紹介をさせて頂きました。
繰り返しになりますが、
「アンガーマネジメント」は大人の発達障害でお悩みの方だけでなく、
広く様々な方々や場面において有用な、
セルフマネジメントツールの一つです。
前回は、初回としては少し難易度が高めではありましたが、
「怒りは第二感情である」という大前提をお伝えさせて頂きました。
今回は、怒りを「短期的な怒り」と「長期的な怒り」とに分類した際に、
前者の「短期的な怒り」に効果的な対処法についてをご紹介いたします。
「何であの時、とっさに怒ってしまったのだろう」といったような、
瞬間的に怒りを出してしまったことによる後悔をされたご経験がある方は、
決して少なくはないと思います。
その背景や原因には様々なことがあるのですが、ここでの最初のポイントは、
「まず一旦は冷静になる(クールダウンする)」ことだと言えるでしょう。
その方法の代表的なものとして、以下のものが挙げられるでしょう。
◎大きく深呼吸をする
◎自分が落ち着く言葉(短めでシンプルなもの)を心の中で繰り返し唱える
◎心の中でゆっくり8つ数を数える(エイトカウント法)
「自分が落ち着く言葉」は、端的かつシンプルなものが良いとされています。
例えば、「深呼吸、深呼吸…」「落ち着け、落ち着け…」など、
自分に合った言葉を予め用意されておかれると良いでしょう。
「エイトカウント法」とは、声には出さず、自分の心の中で、
「8、7、6、5、4、3、2、1、0」とゆっくり噛みしめるように唱えます。
すると大抵の怒りがかなり鎮まってきているご自分に気づかれることでしょう。
この3つ方法はどれも、
ほんの数秒、反応するタイミングに「間」を作るだけで、
ご自分の怒り(興奮)が急速に低下するという現象を踏襲しています。
そして、前回のコラムでご紹介しましたように、
「間」を作ることで、冷静になった後、必要であれば、
自分の本当の気持ち(=第一感情)を穏やかに伝えるようにしましょう。
非常に興味深い研究として、
ポジティブな声掛け(例:あいさつ、感謝など)をした場合、
その声掛けに対する反応率は50%以下であるのに対し、
ネガティブな声掛け(例:怒り、怒鳴るなど)をした場合、
その声掛けに対する反応率は90%以上という結果が出ているそうです。
つまり、怒りを相手に投げ掛けてしまうと、
非常に高い確率(90%以上)で反応してしまい、
その場合、「怒り」の感情で返されることが殆どであるそうです。
「いやいや自分の場合、相手が上司だから、言い返さないで我慢しています」
と反論したくなる方もいらっしゃられることでしょう。
ここで、また不思議な「怒り」の特徴をご紹介しますと、
「怒りは、風呂敷に入れて持ち運びができる」
「怒りは、高いところから低いところに流れる」
という言葉(現象)があります。
これは、怒りをその当人に直接向けることが立場的に難しい場合、
自分が怒りを向けても反論しづらい相手(部下、あるいは家族)に、
その怒りの矛先が向けられる……という現象を表現しています。
会社では「穏やかな人物」と評されている方が、
家庭内では「暴力的・攻撃的な人物」に変貌する所以が、
この2つの怒りの特徴にあると言えるでしょう。
「怒り」との正しい付き合い方を知る重要性が感られるエピソードです。
当院では、大人の発達障害をはじめ、
うつ病、躁うつ病、不安障害、適応障害、摂食障害、パニック障害、睡眠障害、自律神経失調症など、皆さまの抱えるこころのお悩みに対して、
心身両面からの治療とサポートを行っております。
またご希望の方には、アンガーマネジメントについてのご相談も承っております。
今後とも、医療法人社団ペリカン六本木ペリカンこころクリニック(心療内科、精神科)を宜しくお願いいたします。