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医療法人社団ペリカン六本木ペリカンこころクリニック(心療内科、精神科)です。
「巻き込み」とは、強迫症の中の「強迫行為」の一種です。自分の行動だけでは不安が解消できず、他者(大抵は家族や同居する方)を巻き込んでしまう行為です。細やかな程度まで含めて統計を取ると、強迫症の患者様の90%以上に認められる、非常に高頻度の症状です。
この「巻き込み」は、他の精神疾患では、通常認められないため、強迫症(強迫スペクトラム)と、その他の疾患を区別できる特徴的な症状とも言えるでしょう。
「巻き込み」は、その様式によって、大きく3タイプに分かれます。
一つ目は、「保証の要求」です。ご自身の不安を解消させるために、「大丈夫か?」等ということを繰り返し他者(大抵は家族や同居する方)に確認し、保証を要求するタイプです。
二つ目は、ご自分のルールを、同居されている他者に強要し従わせる「行為の強要」です。例えば、子どもが帰宅した際に、徹底的な手洗いや服の着替え、入浴などを強制し、綺麗になったと納得できるまで部屋に入ることを禁じたりします。
三つ目は、自分の行為を代わりにやらせるという「行為の代行」です。例えば、外出時や就寝前の鍵の確認を、ご自分が決めた“ルール”通りに家族や同居されている方に行わせます。
このようにバリエーションはありますが、共通する目的は「本人の不安の解消」です。この「不安の解消」は強迫行為の「核」とも言え、気をつけないとどんどんエスカレートしていってしまいます。強迫行為の症状の一種ですから、やればやるほど、不安も拘りも増大し、患者様当人のみならず、“巻き込まれた”家族も疲弊していきます。その結果、人間関係がこじれてしまうことは珍しくはなく、最悪の場合、家族の崩壊にまで繋がる可能性があります。
この「巻き込み」は、巻き込まれている方ご自身が、その事実に気が付きにくく、気が付いた時には、手が引けない程の深刻な状態になってしまっていることが少なくありません。一見、治療的な「協力」をしているように見えるこの「巻き込み」は、実は強迫症の「悪化(助長)」に一役買ってしまっているのだということを、患者様とご家族様の双方が認識して頂くことが、疾病の正しい理解には不可欠なのです。
このコラムを読まれて、ご自分の現在のご状況として、
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当院では、強迫症(強迫性障害)をはじめ、
パニック症、不安症、自律神経失調症、心身症、
うつ病、躁うつ病(双極性障害)、適応障害、恐怖症、
睡眠障害(不眠症)、摂食障害(過食症)、統合失調症、
大人の発達障害(ADHD、自閉スペクトラム症)、
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心身両面からの治療とサポートを行っております。
また当院では、診察と一緒に、専門の心理士(臨床心理士・公認心理師)資格を持ったカウンセラーによるカウンセリング(心理療法)も行っております。カウンセリングをご希望される患者様は、診察時に医師にご相談下さい。
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