こころのペリカン便り

Column

【心療内科 Q/A】「『適応障害』の治療で自分が行うことは何ですか?」

A.
医療法人社団ペリカン六本木ペリカンこころクリニック(心療内科、精神科)です。

 

 

適応障害を考える際、「①ストレスそのもの(外部要因)」「②ご自身の感じ方や考え方等の心理的要因(内部要因)」「③ストレス反応の経過段階(時間要因)」という3つの要因に分けて検証することが可能です。それぞれ具体的な例として、以下のようなものが挙げられるでしょう。

 

 

①「外部要因」
✓上司との関係性の悪化
✓異動先に中々慣れない
✓ハラスメントを受けている
✓残業時間が月100時間を超過している
✓取引先とうまくいかない

 

 

②「内部要因」
✓些細な事でも傷ついてしまう
✓すぐにカッとなってしまう
✓仕事に興味が持てない
✓コミュニケーションが元々苦手

 

 

③「時間要因(ストレス反応の疲弊期の症状)」
✓抑うつ
✓不安感
✓焦燥感
✓不眠
✓頭痛
✓疲労感
✓倦怠感
✓食欲不振
✓腹痛
✓便秘
✓下痢
✓めまい

 

 

仮に、上記のような問題を抱え、周囲のサポート体制である産業医、会社の産業保健スタッフ、医師等に相談をされたとします。まず、「①外部要因」は職場の問題ですので、一次的に介入するのは産業医であり産業保険スタッフです。彼らが問題を評価して、その方の上長や人事部に橋渡しをして、ストレス環境の調整に働きます。

 

 

「②内部要因」は、直面するストレスをどう理解し感じ、対処されるかという問題です。そこには、ご自身を打たれ弱くさせている認知傾向や、感情の起伏の大きさ…等といったようなことが入ってきます。これを担うのが、心理療法を行うカウンセラー(臨床心理士・公認心理師)になります。

 

 

「③時間要因」に対しては医師が治療を行います。場合によっては回復の手助けとして投薬治療がなされることもあります。

 

 

ここで注意して頂きたいことは、「③時間要因」の諸症状に対しては、医師が果たす役割は大きいことは事実ですが、それぞれの問題は、必ずしも各専門職のみが解決に導くものではない、ということです。

 

 

しかし、適応障害には「①外部要因」と「②内部要因」が存在しており、勿論上記の諸専門職の方々の介入や協力体制はありますが、それ以上に、ご自身の「セルフコントロール力」を養うことが大切になってくるのです。

 

 

「セルフコントロール」とは、常にご自身をモニタリングし、何か異常を感じられた際には、上司に相談する、医務室を利用する、感情的になりやすい考え方を修正する…等といったことがそれに相当します。これは、適応障害の「治療」という意味ではもちろんのこと、「予防」という観点からも非常に重要になってきます。

 

 

つまり、適応障害の治療・予防においては、当事者様ご自身が、産業医(医師)、保険スタッフ、カウンセラーに続く「第四の職位」になるという意識が必要なのです。

 

 

だからといって、何も特別難しいことではありません。調子が悪いと感じられたらその日は早めに休むようにする、質の良い睡眠をしっかりとる、栄養バランスの取れた食事をとる、適度な気分転換やリフレッシュ法を持っておく…等といった、日々の小さな積み重ねに他なりません。単に薬を飲むだけではなく、ご自分の心身両面の調子やバランスに気を配るということなのです。

 

 

 

このコラムを読まれまして、ご自分の現在のご状況として、
気になる点がありました方や、興味・関心を抱かれた方は、
どうぞ当院まで、お気軽にお問い合わせください。

 

 

当院では、適応障害をはじめ、
うつ病、躁うつ病(双極性障害)、自律神経失調症、
睡眠障害(不眠症)、ストレス関連障害、統合失調症、
パニック症、強迫症、不安症、摂食障害(過食症)、
大人の発達障害(ADHD、自閉スペクトラム症含む)、
月経前症候群(PMS)、過敏性腸症候群、心身症など、
皆さまの抱えるこころのお悩みに対して、
心身両面からの治療とサポートを行っております。

 

 

また当院では、診察と一緒に、専門の心理士(臨床心理士・公認心理師)資格を持ったカウンセラーによるカウンセリング(心理療法)も行っております。カウンセリングをご希望される患者様は、診察時に医師にご相談下さい。

 

 

今後とも、医療法人社団ペリカン六本木ペリカンこころクリニック(心療内科、精神科)を宜しくお願い致します。