A.
医療法人社団ペリカン六本木ペリカンこころクリニック(心療内科、精神科)です。
前回の「『高EE家族』とは何ですか?」に引き続き、今回は「家族が『高EE』になる理由について」記載させて頂きます。繰り返しになってしまいますが、あくまで「高EE家族」は統合失調症の再発についての家族研究に端を発してしますので、そちらに準じた記載内容とさせて頂きます。
では、家族の「感情表出(Expressed Emotion)」はどのような時に高くなってしまうのでしょうか。
まずは、患者様の症状が激しく、それが慢性的に続いているような場合です。これは家族にとっても相当深刻なストレスとなるので、そのためについ批判的な感情をぶつけてしまうことが起こり得ます。
次に、心の病気(例:統合失調症など)に対する家族の理解が不足している場合です。例えば、症状のために睡眠時間が長くなってしまうのを「怠けているのだ」と思ってしまい、「しっかりしなさい」と叱咤してしまうことはかなりあります。
更には、他の家族の協力が得られず、特定の方が1人で問題を抱え込んでしまうような場合です。例えば、患者様の母親が、1人で問題や悩みを抱え込んでしまい、患者様の症状が悪化すると、父親から母親が責められる、というケースは珍しくありません。このような場合の家族の「EE」はやはり高くなってしまいます。
その他にも、将来への不安や経済的な不安が強かったり、専門家からの援助(サポート)が十分に受けられなかったりされるような場合も「高EE」の原因となります。
但し、ここで注意して頂きたいのは、実際の生活の中で、患者様に少しでも「批判的な態度」を取ったり「情緒的に巻き込まれ」たりしてはいけない、ということではありません。問題となってくるのは、そのような態度が一貫してしまっている場合や、あるいは度を越しているよう場合に、「EEが高い」と評価されるということなのです。
つまり、「EE」とは、原義に照らし合わせるならば、心の病気の再発防止の尺度であり、患者様の周りの身近な方々、特にご家族が、患者様との接し方において、再発リスクが潜んでいないかをよく考えて、もしそうであれば修正する工夫や努力が必要だということを示唆するものなのです。
家族を始めとした周囲の方々の気持ちの安定、適度な感情の交流、冷静な対応が、結果として患者様に良い影響を与えることにもなるのです。
当院では、
うつ病、躁うつ病、不安症、適応障害、
パニック症、摂食障害(過食症)、睡眠障害(不眠症)、
自律神経失調症、冷え性、強迫症、統合失調症、
大人の発達障害(ADHD、自閉スペクトラム症含む)
月経前症候群、過敏性腸症候群、ストレス関連障害など
皆さまの抱えるこころのお悩みに対して、
心身両面からの治療とサポートを行っております。
また当院では、診察と一緒に、専門の心理士(臨床心理士・公認心理師)資格を持ったカウンセラーによるカウンセリング(心理療法)も行っております。カウンセリングをご希望される患者様は、診察時に医師にご相談下さい。
今後とも、医療法人社団ペリカン六本木ペリカンこころクリニック(心療内科、精神科)を宜しくお願い致します。