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医療法人社団ペリカン六本木ペリカンこころクリニック(心療内科、精神科)です。
以前「『統合失調症』について教えて下さい②」の中で、「幻聴」について簡単に触れさせて頂きました。今回はその「幻聴」について、もう少し踏み込んだ記載をさせて頂きます。
統合失調症では、視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚といった「五感」に「幻覚」が現れます。よって、幻視・幻触・幻味・幻嗅なども起こりますが、圧倒的に多いのは「幻聴」です。統合失調症の中で起こる幻覚の中で、なぜ「幻聴」が特に多いのかについて、諸説提唱されていますが、未だはっきりとした解答は出ていません。
「幻聴」の多い理由の一つとして考えられているのが、統合失調症に特徴的な症状である「自我障害」との関係です。自分と他者との境界を「自我境界」と呼びますが、健康な方ほど、その自我の境界がハッキリしています。ところが統合失調症の方は、その自我境界があやふやであったり、もろかったりします。そのため、他者の考えが自分の中に入ってくるように感じる「思考吸入(すいにゅう)」や、逆に自分の考えていることが他者に筒抜けになってしまっていると感じる「思考伝播(でんぱ)」といったことが起こります。
つまり、統合失調症に罹ると、自分と他者との境界が曖昧になるため、自分自身が「主体的に行っていること」と、「受動的にさせられていること」との区別がつかなくなってしまうのです。
統合失調症の症状の一つに「作為体験(させられ体験)」というものがあります。これは、自分の行動や考えなどが、自分の意思ではなく、自分ではない何者かによって支配されている(あやつられている)と感じることですが、これも自我の境界の崩れを表す症状と言えるでしょう。「作為体験」は、本当に自分が行いたいと思っていることを、あたかも他者からの指示や命令で行っているように感じてしまうことです。
そして、聞こえる筈のない他者の声が聞こえる「幻聴」も、この「作為体験」と同様のメカニズムで起こると考えられています。つまり、他人の声として聞こえてくる内容は、本当は自分が考えていることなのですが、それが「他者からの声」として聞こえてくる訳です。実際に「幻聴」として聞こえてくる内容は、患者様ご自身が知っていることや思っていることばかりです。幻聴で「自分の悪口が聞こえてくる」というのも、内心で「自分の悪口を言われたら嫌だな」と思っていることが、自我の境界が崩れていることで、それが他者からの声として聞こえてくるのだとも考えられています。
当院では、
統合失調症、うつ病、躁うつ病、不安症、
適応障害、パニック症、摂食障害(過食症)
睡眠障害、自律神経失調症、冷え性、強迫症、
大人の発達障害(ADHD、自閉スペクトラム症含む)
月経前症候群、過敏性腸症候群、アルコール使用障害など
皆さまの抱えるこころのお悩みに対して、
心身両面からの治療とサポートを行っております。
今後とも、医療法人社団ペリカン六本木ペリカンこころクリニック(心療内科、精神科)を宜しくお願い致します。