こころのペリカン便り

Column

【心療内科 Q/A】「『自律神経失調症』によく使われる漢方薬を教えて下さい」

A.

医療法人社団ペリカン六本木ペリカンこころクリニック(心療内科、精神科)です。

 

 

以前、同コラムにて漢方と自律神経失調症との関係についてという内容で、簡単にその概略をご説明させて頂いたことがありますが、漢方(漢方療法)の得意な分野は、未病(みびょう)と言われる分野です。未病とは、西洋医学では病気とされなかった(検査に異常が見らなかった)ものの、何かしらの不調を感じている状態を指しています。そして、この「未病」としてよく分類される代表的なものの一つが自律神経失調症です。

 

 

そのため、「自律神経失調症」の治療に「漢方薬(漢方療法)」が用いられることは、比較的多いと言えるでしょう。漢方薬は、日本で承認されたものが294処方(一般漢方製剤)あります。その内、医療保険の適用があるものが148処方ありますその中で、心療内科や精神科において、自律神経失調症の治療の中でよく使われる7種類の漢方薬を以下にご紹介させて頂きます。

 

 

勿論、一口に「自律神経失調症」と言いましても、症状は多種多様ですし、患者様お一人おひとりの体質・体格(=「証」)が異なります。当然ながら、以下の漢方薬以外が処方されることは起こり得ますので、参考程度のものとして頭に留めておいて頂ければ幸いです。

 

 

◇『人参養栄湯(にんじんようえいとう)』:消化器の働きを高め、栄養を身体中にいきわたらせる作用があります。身体虚弱、精神不安、不眠にも効果的です。先々のことを思い悩み易いタイプの方にも向いています。

 

 

◆『加味帰脾湯(かみきひとう)』:不安や緊張、イライラを鎮める作用があります。身体虚弱、貧血、不眠にも効果的です。睡眠リズムが乱れている方にも向いています。

 

 

◇『抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴ)』:体力が落ちていて、イライラが募る時に自律神経を整えて安定させる作用があります。神経過敏になってしまわれている方にも向いています。

 

 

◆『柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)』脳の興奮からくる不眠を改善する作用があります。緊張して中々寝付けない、そのために夜更かしや朝寝坊をされてしまうタイプの方にも向いています、

 

 

◇『加味逍遙散(かみしょうようさん)』:交感神経の興奮が続くことでイライラや不眠に悩まれる中高年の女性によく用いられます。ホルモンバランスの乱れ、生理不順、更年期等の影響による不調の方に向いています。

 

 

◆『五苓散(ごれいさん)』:体内に停滞した余分な水分を外に出す作用があります。むくみや頭痛・眩暈、下痢に効果が見られます。また、気象や気圧の変動に体調が左右されてしまわれる方によく使われています。

 

 

◇『半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)』喉のつかえや声のかすれ、不安感、眩暈、耳鳴り、抑うつ状態を改善する効果があります。何事も重み悩みやすい方、心労をため込みやすい方などに使われています。

 

 

 

なお、これら自律神経失調症の治療に関する漢方薬(漢方療法は、当院のような心療内科クリニックにおいて、保険適用で処方することが可能です。ご希望の患者様は、診察時に医師の方にお申し出下さい。

 

 

 

当院では、自律神経失調症、心身症をはじめ、

うつ病、躁うつ病、不安障害、適応障害、

摂食障害、パニック障害、睡眠障害(不眠症)、

月経前症候群、統合失調症、強迫性障害、

過敏性腸症候群、更年期障害、ストレス関連障害、

大人の発達障害(ADHD、自閉スペクトラム症)など、

皆さまの抱えるこころのお悩みに対して、

心身両面からの治療とサポートを行っております。

 

 

今後とも、医療法人社団ペリカン六本木ペリカンこころクリニック(心療内科、精神科)を宜しくお願い致します。