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医療法人社団ペリカン六本木ペリカンこころクリニック(心療内科、精神科)です。
「強迫性障害(強迫症)」に拍車を掛けてしまうものとして、幾つかの「環境要因」があることが指摘されています。今回はそのことについて記載させて頂きます。
かつての日本では、畑仕事や手仕事による家事に明け暮れることは珍しくありませんでした。しかし、現代はパソコンや家電製品の普及により、人が手間暇かけて行う仕事は減り、自分の「余暇時間」を作ることが出来るようになりました。そして、暇になると人は余計な事(主にネガティブな内容が多い傾向があります)を考える時間的余裕が出来、これが強迫観念の「呼び水」になってしまうのです。
また、「環境要因」という意味では、育った家庭環境の影響もあると言われています。何故なら、厳しい家族ルールがあるご家庭の場合、その親御さんが強迫的な気質や傾向をお持ちであることが多いからです。そういった場合、否応なく、疑問の余地なく親のルールに従っている間は均衡が保たれているのですが、その環境から一旦離れると、ご自分の下す判断に対して、途端に自信がなくなってしまう方がいます。箸の上げ下ろし、パンの千切り方から歯ブラシの角度まで、生活の細部に渡る行動に「これで良いのだろうか?」という不安を抱くようになり、重度の強迫症状を呈することがあります。
因みに、強迫性障害(強迫症)が起きるのは人間だけではありません。犬や猫、小鳥などが狭い空間で、食事に不自由することなく暮らすと、人間の強迫性障害(強迫症)とよく似た「常同行動(同じ行動を繰り返すこと)」を起こし易くなると言われています。
小鳥を例にとると、外で暮らす野鳥は一日の大半の時間を、エサを探して確保することで飛び回っています。一方、鳥籠の中で暮らすペットの小鳥は、餌はいつでも目の前にあり、一日中暇を持て余して過ごしています。すると、「毛引き」といって、自分の毛を引き抜くという強迫行動を繰り返すようになるのです。一度毛引きを始めると、その「快」感に囚われてしまい、丸裸になっても止められなくなります。この毛引きの他に、自分の身体を咬むことを止められなくなることもあります。
ペットの犬や猫でも、上記のような条件が揃った場合、毛が抜けて皮膚がただれるまで身体をなめたり、自分の尻尾を追い駆けてクルクル回ったりする行動がありますが、これらも強迫症状の一つなのです。
現在、強迫スペクトラムの中には、「抜毛症(心身症に分類されることもあります)」や「皮膚むしり症」といった疾病が含まれており、ある意味では便利で快適な現代生活がもたらした疾病と言えるのかもしれません。
当院では、強迫性障害(強迫症)をはじめ、
パニック障害(パニック症)、不安障害(不安症)、
大人の発達障害(ADHD、自閉スペクトラム症)、
うつ病、躁うつ病、適応障害、自律神経失調症、
摂食障害、睡眠障害(不眠症)、心身症、恐怖症、
月経前症候群、統合失調症、過敏性腸症候群、
社交不安障害、ゲーム障害、ストレス関連障害など、
皆さまの抱えるこころのお悩みに対して、
心身両面からの治療とサポートを行っております。
また当院では、診察と一緒に、専門の心理士(臨床心理士・公認心理師)資格を持ったカウンセラーによるカウンセリング(心理療法)も行っております。カウンセリングをご希望される患者様は、診察時に医師にご相談下さい。
今後とも、医療法人社団ペリカン六本木ペリカンこころクリニック(心療内科、精神科)を宜しくお願い致します。