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医療法人社団ペリカン六本木ペリカンこころクリニック(心療内科、精神科)です。
今まで同コラムにて、ネット・ゲーム依存について、様々な角度から説明をさせて頂きました。これらの内容の整理も兼ねて、実際にネット・ゲーム依存が進行していくプロセスを、具体的に辿っていきます。
依存症の怖いところは、そこに陥るまで、その恐ろしさに気付きにくいことです。始めは、なだらかに、ゆっくりと進行します。当然、危険など感じません。「その気になれば、いつでも立ち止まれる」と思っています。むしろ、良いことずくめにようにさえ感じられます。
これまでに味わったことのないような体験が、いとも簡単に手に入ります。必要を満たしてくれ、楽しみを与え、しかも嫌なことを忘れさせてくれる、そのような三拍子そろった楽しみがこれまであっただろうか、とすら感じます。
しかし、何か月、何年か経つ内に、次第にその様相が変わっていきます。オンラインゲームやスマホの場合、時として1ヶ月も経たないうちに危険な兆候が現れ始める場合もあります。
まず、最初の兆候として表れやすいのは、「睡眠時間の乱れ」です。深夜までやり続けて、朝が起きられなくなります。翌日、学校や仕事があると分かっているのに止められません。つい、やり続けてしまうのです。長期休暇などがあったりすると、それをキッカケに一気に昼夜逆転に陥ります。
次に見られやすい兆候は、「家族や友人と出かけたり遊んだりしたがらなくなること」です。渋々出かけられる場合も、ゲーム機やスマホが手放せません。せっかく遊びに出かけても、目の前にいる相手との関わりが二の次、ということも起こってきます。
さらに進行すると、「週末のレジャーや家族旅行等に付き合うことを嫌がる」ようになります。特に、パソコンでのオンラインゲームに依存している場合には、この傾向がより顕著です。パソコンは、スマホと違い持ち運びが難しいことや、仮に滞在先でプレイが出来たとしても、家族の前では気楽に行えません。そういった様々な思いが働いて、行きたがらなくなるのです。
また、「やらないといけない」と分かっている現実の課題を怠ったり、他の楽しみや趣味に対して、以前のような興味を示さなくなったりします。健全なレベルの熱中の場合には、一時的に長時間使用することがあっても、現実における他の楽しみや、新たにすべきことが現れると、関心がそちらに移行し、使用は落ち着きます。ところが、病的な依存が始まっている場合には、現実の楽しみややるべきことが差し迫っているのに、それを後回しにしてしまうようになります。
そして、いよいよ、学校や仕事に行かなくなる、友達付き合いをしなくなる、家に籠りっぱなしになるといった、現実生活に破綻をきたす状態になっていきます。当然、家族との摩擦や衝突が増えますが、その際にまるで別人のように攻撃的・反抗的な様相を示すようにもなります。加えて、「楽しいからやる」というよりも、「やらないと落ち着かないからやり続ける」という状態になっていきます。本人の表情は暗く、うつむきがちで、顔を合わさなくなり、口数は減って、笑顔が見られなくなります。些細なことから、自分の苛立ちを周囲にぶつけてしまうことも出てきます。
依存状態が長期化するにつれ、現実面でのパフォーマンスの低下が歴然としてきます。それはご本人にも自覚可能なレベルであるため、本人はますます自信を失い、自分が現実にある様々な課題をやりこなしていくことは到底不可能だと感じ始めてしまいます。現実(現実生活)に戻りたいと思いながらも、戻れる自信がなく、そうした葛藤やジレンマから逃れるために、再度オンラインの世界にのめり込むということが繰り返されてしまうのです。
長期休暇中は、依存のキッカケにもなりやすい期間です。
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