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医療法人社団ペリカン六本木ペリカンこころクリニック(心療内科、精神科)です。
前回のコラムでADHDの特性をお持ちの方に起こりがちな
「先延ばし行動」について記載させて頂きました。
今回の「仕事(作業)へのモチベーションをどう維持すれば良いのか」
というお悩みも、そのことと関連した内容であると言えます。
ADHDの方は、実行機能(物事を処理する能力)に支障があるため、
仕事や作業に対してスムーズに取り組み始めることが中々難しい、
という側面を持たれています。
加えて、目の前の即座の利益(メリット)を過大評価してしまうという、
報酬系の課題も持たれているため、
「その作業(仕事)を取組み始めること」よりも、ついつい、
「正直、面倒くさいな」という気持ちが先に立ってしまいます。
(これが、前回記載させて頂きました「先延ばし」のメカニズムです)
しかし、仕事は例え面倒に感じられたとしても、
放っておけばなくなるという類のものではなく、
場合によっては、時間が経過することで(先延ばしすることで)、
問題や状況がより悪化してしまい、
着手したり解決したりすることが一層困難になってしまうことすら
起こり得ます。
そこで、この「面倒くさい」気持ちに打ち克つ為に有用な方法が、
「ご褒美」を用意する、というものです。
作業が終われば報酬(ご褒美)があると分かっていれば、
自ずとモチベーションも高まっていきます。
ご褒美は「物」でなくとも構いません。
頑張っている自分を労い、褒めてあげること、
即ち、「頑張って良かった!」と思えることに繋がるのであれば、
形がないものでも良いのです。
例えば、ご褒美を「自分の自由時間」にする、という方法もあります。
やるべきことを先延ばししていることは、
言うなれば、最初に「休息(休憩時間)」をもらっているようなものです。
よってこの間、人によっては後ろめたい気持ちになってしまわれたり、
実際に作業を始めれば、
締め切りギリギリの余裕がない状態で進めざるを得なくなってしまいます。
それを、作業をすぐに開始すれば、その「ご褒美」として、
作業終了後に自由に過ごせる時間(自由時間、休憩時間)になる、
というように発想を転換させてみては如何でしょうか。
「ご褒美」は、ご自分が好きなものや楽しいことにします。
作業が済んだ後に、頑張った自分へのご褒美として、
職場で出来るものだけでなく、自宅へ戻ってから出来るものを、
充ててもよいかと思います。例えば……
◎楽しみにしていたDVDやドラマを見る
◎少し贅沢をして美味しい物を買って帰る
◎友人と電話で沢山話す
◎マッサージやネイルサロンに行く
◎舞台、映画、コンサートに行く
……等々といったものが挙げられるでしょう。
また、作業を進める励みになるように、作業に入る直前や、
作業中に意欲を上げるような「ご褒美」も良いでしょう。
例えば……
◎美味しい飲み物を用意して、それを飲んでから作業に入る
◎真新しい文房具を使って作業をする
……等々といった工夫が出来るかもしれません。
このように、
「作業をすることで良いことがある」という付加価値を、
「ご褒美」を設定することで上手に高めて、
仕事や作業へ取り組む上でのモチベーション、意欲、やる気を、
是非とも上手にコントロールされてみて下さい。
このコラムを読まれて、
ご自分の現在のご状況として気になる点がありました方、
興味・関心を抱かれた方は、
どうぞ当院まで、お気軽にお問い合わせください。
当院では、
大人の発達障害(ADHD、自閉スペクトラム症含む)をはじめ、
うつ病、躁うつ病、不安障害、適応障害、摂食障害、パニック障害、
睡眠障害、自律神経失調症、月経前症候群、統合失調症など、
皆さまの抱えるこころのお悩みに対して、
心身両面からの治療とサポートを行っております。
今後とも、医療法人社団ペリカン六本木ペリカンこころクリニック(心療内科、精神科)を宜しくお願い致します。