Ⅰ. 急増している「デジタル依存(ネット依存、スマホ依存、ゲーム依存)」
デジタル技術やIT技術の急成長を受け、私たちの身の回りにはパソコン、タブレット、スマートフォンといったデジタル機器が、当たり前に存在するようになりました。
大人から子どもまで、1人1台(場合によっては複数台)を所持する時代です。
その「恩恵」は大変に絶大な分、「弊害」についてあまり語られることはありませんでした。
「弊害」は種々ありますが、特に問題となっているのは私たちの脳機能への影響です。
脳の本来の正常な働きに影響を及ぼし、さらに「依存」状態にまでなり得るのです。
警鐘を鳴らされているのが、「ネット依存(インターネット依存)」・「スマホ依存」・「ゲーム障害(ゲーム依存)」です。
特に、「ゲーム障害」において、死亡者が報告されたことから、一気にその存在と危険性に注目が集まり始めました。
Ⅱ. どこまでが「正常」で、どこからが「依存」なのでしょうか?
現代において、もはやデジタルを利用せず、仕事や学習を行うことは難しい状況となっています。
では、どこまでが「正常」で、どこからが「依存」となってくるのでしょうか。
依存には、3つの形態があります。
- ①物質への依存
- ②行為(プロセス)への依存
- ③関係性(人間関係)への依存
従来、デジタル依存は、②に分類されてきました。
しかし、デジタルは脳に大きな影響を及ぼし、近年の研究では「デジタル・ヘロイン」と揶揄される脳内麻薬を生み出すことが指摘されるようになりました。
SNSで想像されるように、人間関係を構築する上で欠かせないツールにもなりました。
このように考えると、デジタル依存は①と③も含んでいると考えられ、それだけ強力な依存性があることがわかります。
デジタル依存は「否認の病」とも言われており、当事者はご自身の現状(依存)をなかなか客観的に見つめることが難しく、否認しがちです。
たとえば、使用時間に関して、ご家族などにお話される時間は、実際より少ないことが多いとされています。
Ⅲ. 症状の定義や診断基準はどのようになっているのでしょうか?
世界保健機構(WHO)は、「ゲーム障害」を以下のように定義してします。
「ゲーム障害」とは、持続反復するゲーム行動で、以下の4つの症状を示す。
- ・ゲームのコントロールができない。
- ・他の趣味や活動より、ゲームを優先させる。
- ・(ゲームにより)問題が起きているにも関わらず、ゲームを続ける。
- ・個人、家族、社会、教育、職場やその他の機能に著しい問題が生じている。
アメリカ精神医学会では、ほぼ同様の症状を「インターネット・ゲーム障害」と呼んでおり、以下のような診断基準を定めています。
「インターネット・ゲーム障害」とは、過去12ヶ月の間に、以下の9項目のうち5項目が該当する場合を指し、早急な治療開始が必要である。
- ・インターネット・ゲームに夢中になっている
(前回のゲームのことを考えたり、次のゲームを待ち望んだりして、インターネット・ゲームが日常生活の主要な活動となる)。 - ・インターネット・ゲームが取り上げられた時、離脱症状が引き起こされる
(=典型的な症状はイライラや落ち着きのなさ・不安・心の苦しさ・悲嘆反応など)。 - ・耐性、すなわち、インターネット・ゲームに費やす時間が増大していく。
- ・インターネット・ゲームへの参加(使用制限)をコントロールする試みが成功しない。
- ・インターネット・ゲームの結果として、インターネット・ゲーム以外の趣味や楽しみへの関心がなくなる。
- ・心理社会的な問題(日常生活や社会生活に支障)があるとわかっているにも関わらず、インターネット・ゲームを継続してやり過ぎてしまう。
- ・家族、治療者、または、他者に対して、インターネット・ゲームの使用料(使用時間)について虚偽の報告をしたことがある。
- ・否定的な気持ち(無気力・罪悪感・不安)から逃げるため、あるいはそれらを紛らわせるために、インターネット・ゲームを使用する。
- ・インターネット・ゲームへの参加のために、大事な交友関係・人間関係、仕事、学業を積む機会が危うくなったり、実際に失ったことがある。
治療が早ければ早いほど、回復もスムーズになります。
現代において、ITツールなしで過ごすことは難しいです。
こういったデジタル依存の治療の最終的な目標は、「ちょうど良い付き合い方の感覚を取り戻す(自身でコントロールができるようになる)」ことでしょう。
こちらをご覧になられて、「自分はもしかしたら…」と思われた方は、まずはどうぞ気軽に当院にお問い合わせ下さい。
当院におります、デジタル依存に詳しいスタッフにて対応させていただきます。
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皆様のお話を聞かせてください。